それはよく聞かれます。(トヨタグループ最大のサプライヤーである)デンソーが、トヨタ自動車の広瀬工場(ハイブリッド車などの電子部品を製造)を譲渡されましたので(再編が加速するという見方がされている)。

 でもアイシンはその前から、事業の整理・再編を進めていました。ドラムブレーキ事業を豊生ブレーキ工業に、変速機事業をAWに集約するなど成果を出してきたのです。ある意味で一区切りついたと思っています。どちらかというとデンソーのほうが、(事業の再編・整理を)やっていなかったのです。

――とはいえ、アイシンの得意分野である低速域の自動運転技術(自動バレーパーキングなどに使われる)を、同じトヨタグループのジェイテクトが開発しています。トヨタグループでも製品・技術の重複や無駄があるのではないですか。

 それは(いま整理する必要はなくて)成り行き次第(でどちらかが淘汰される)かもしれません。

 アイシンにとってCASEの「A(Autonomous=自動運転)」で期待しているのは、低速域の自動運転とドライバーモニタリング技術(居眠り運転などを防ぐ)の2分野です。

 とりわけ低速域の自動運転は「世界初」で開発を進めてきており、自信を持っています。最後は、低速域の自動運転で、(トヨタグループ内外の)競合と比べてどちらに力があるかということです。アイシン精機には競争力があると思って売り込んでいるし、手応えも感じています。

――グループ会社間での重複をなくすようにと、トヨタ自動車からメッセージは来ているのではないですか。

 それはどうでしょう。仮定の話はできません(笑)。

 トヨタグループ内で補完関係があるなら、合弁会社を作って対応することもあります。電動車の駆動モジュールの開発、販売を行なうBluE Nexus(ブルーイー ネクサス)をデンソーと設立したのもそのためです。モーターやインバーターといったユニット単位でも(アイシン精機には)競争力がありますが、それを自動車の駆動システムに「適合」(部品を自動車に搭載して問題なく稼働させること)させるための要員となると十分でなかった。これをデンソーと補完するのがブルーイー ネクサスの枠組みです。自動車の駆動システムで、独ボッシュやコンチネンタルといったメガサプライヤーと戦うためにも意味があります。