国内最強の企業集団、三菱グループが創業150周年の節目に緊急事態にひんしている。三菱重工業は公的支援がささやかれるほどに凋落。三菱商事と三菱UFJフィナンシャル・グループは、業界の“利益首位”の座から陥落する見通しで、三菱「御三家」がそろって業績不振にあえいでいる。コロナ後の「変数」の多い時代に、三菱グループは再び輝きを取り戻せるのか。特集『三菱陥落』は、三菱商事を中心とするグループの死闘を9月14日(月)からの全10回の連載でお届けする。
#1 9月14日(月)配信
三菱商事社長から全社員への「釈明メール」独自入手、軋むエリート集団
三菱商事の垣内威彦社長が6月に社員に向けて送ったメールを独自入手した。その中身からは、社員が経営に不信感を高めていることに対し、垣内社長が並々ならぬ危機感を抱いている様子がうかがい知れる。だがそこで示されたのは、社員のガス抜きをしているようにしか見えない弥縫策だった――。三菱グループのみならず日本を代表するエリート集団企業の内部で今、一体何が起きているのか。
#2 9月14日(月)配信
「三菱自動車を切り捨てない」三菱商事のキーマン、自動車部門CEO激白
8月末、三菱自動車の経営再建に尽力してきた益子修・元会長が死去した。出身母体の三菱商事と、アライアンスを組む日産自動車や仏ルノーとの“扇の要”の役割を果たしていた実力者の喪失は打撃だ。三菱商事は、業績の足を引っ張る三菱自を持ち分法適用会社から外すことはないのか。あるいは、“親”として日産以外のパートナーを探すことはしないのか。三菱商事の戸出巌・自動車・モビリティグループCEOを直撃した。
#3 9月15日(火)配信
三菱商事の命運握る「デジタル戦略」、BtoBプラットフォームの胴元になる!
BtoB(ビジネス向け)プラットフォームの胴元になる――。三菱商事がデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略を大々的にぶち上げている。縦割り志向の強い商社にとって、DXに代表される「横串機能」の具現化は古くて新しい課題だ。実は、今回の戦略の源流は、槇原稔・三菱商事社長(当時)が策定した1995年の特命プロジェクトにある。四半世紀を経て、三菱商事はデジタル時代の覇者になれるのか。責任者の平栗拓也・デジタル戦略部長に展望を聞いた。
#4 9月15日(火)配信
NTTに「モテ期」到来!三菱商事やトヨタらから提携依頼が絶えない理由
三菱商事やトヨタ自動車などそうそうたるビッグカンパニーから、スマートシティーなど新領域での提携依頼が絶えないレガシー企業がある。日本全国に張り巡らされた通信網と日本トップレベルのR&D(研究開発)部門を持つNTTグループだ。かつてはお役所組織の代表格だったNTTに、「モテ期」が到来している。
#5 9月16日(水)配信
三菱商事が「デジタル急加速」しても伊藤忠・物産・住商が超強気な理由
いつの時代にも、総合商社は時代の“半歩先”を行く分野への投資を急ぐ。現在、商社がこぞって注力しているのがデジタルトランスフォーメーション(DX)領域。商社が対面する「主要業界」の効率化とイノベーションで稼ごうというビジネスモデルだ。壮大なビジョンをぶち上げる三菱商事に対して、伊藤忠商事、三井物産、住友商事はどのような戦略で迎え撃つのか。DX戦略の中身を徹底検証した。
#6 9月16日(水)配信
「丸の内の大家さん」三菱地所がオフィス賃料暴落でも最後に笑う理由
新型コロナウイルスの感染拡大で、首都圏に本社を置く大企業のリモートワークは日常のものとなった。渋谷地区に代表されるように、都心のオフィスビルの賃料相場は下落傾向に歯止めがかからない。東京・丸の内エリアとて例外ではないはずだが、意外にも「丸の内の大家さん」を名乗る三菱地所への打撃は小さいとの見方もある。
#7 9月17日(木)配信
三菱商事から「副社長」が消えた理由、粛清横行で次期社長レースは混沌
任期6年の慣例に従えば、三菱商事の垣内威彦社長は2021年度末に任期満了となる。残り2年を切った後継レースを制するのは誰なのか。社内で有力候補の呼び声が高かった幹部が“左遷”されるなど、近年、垣内社長による中央集権体制が強まっている。熾烈なレースの行方を大胆に予想した。
#8 9月18日(金)配信
三菱自が日産ルノー連合を離脱する日、唯一の打開策はホンダとの提携か
2021年3月期に3600億円の巨額最終赤字に転落する三菱自動車。アライアンスを組む日産自動車、仏ルノーもそろって赤字に転落し、3社連合は崩壊の危機にある。年間100万台そこそこの三菱自が単独で生き残る道はなく、新たなパートナー企業との協業が必要な時期が迫っている。
#9 9月19日(土)配信
三菱商事「最強商社」の退潮、電力会社・重厚長大産業との蜜月に陰り
最強商社を誇った三菱商事の強みはなんだったのか。一つは、先達が足場を固めた電力会社や重厚長大産業と蜜月関係になって稼ぐこと。もう一つは、競合商社や行政よりも視座を高く持ち、次々と新しいビジネスを創出することだ。だが、既得権益で稼ぐビジネスのメッキは剥がれ、恒常的な新規事業の創出力も衰えてきている。この閉塞感から脱却する突破口はあるのか。
#10 9月20日(日)配信
三菱商事vsトヨタ「企業囲い込み」競争が勃発、三菱500兆円経済圏の危機
「鉄の結束」を誇る国内最強の企業集団、三菱グループの瓦解は止まらないのか。スマートシティーなど新領域において、オールジャパンのチームづくりを掲げるトヨタ自動車やNTTグループが企業連携を深めており、巨大な三菱経済圏の規模に肉薄する勢いを見せている。信用情報会社の東京商工リサーチの協力を得て、独自データで企業グループの実力を徹底検証した。
Key Visual by Noriyo Shinoda