子どもの発達において、最も重要な0~2歳、特に0歳の時期、われわれが「愛着の形成」と呼ぶ関係性の発達に大切なその時期を、親が大きな不安を抱えている中で過ごしてしまうと、発達に悪い影響が起きることがあります。

 震災から4年目、福島県内で発達障害についての講演をしたときに、保育士の方から「(当時の)4歳児の様子がおかしい。他の年齢の子どもには見られない行動が多い」と相談されたことがあります。また、親御さんの震災による精神的な傷つき度合いが大きいほど、子どもの行動の問題が多いことも明らかになっています。そのため、今回のコロナ禍で私が特に心配しているのは、いまの0歳児や胎児の発達への影響です。

奥山眞紀子
おくやま・まきこ/1954年東京都生まれ。83年東京慈恵会医科大学大学院博士課程修了(医学博士)。前国立成育医療研究センターこころの診療部統括部長。日本子ども虐待防止学会理事長。

 子どもにとって、特に0~2歳児の半年や1年は、大人とは比べものにならないほど、とても貴重な時間であることを重視して対策を考えるべきだと思っています。

 例えば、いま保育園では保育士を含めてみんなマスクをしていますよね。でも、それだと子どもは大人の表情を見ることができない。ましてや乳児院(家庭で保育を受けられない乳児を入院・養育する児童福祉施設)の赤ちゃんは、朝から晩までマスクをした大人としか接していないわけです。

 まだ、きちんとした調査が行われているわけではありませんが、口元が見えず表情を読み取れない状況で、子どもが言葉とその意味をつなげることがこれまでと変わらずできているのかというと、私はそうは思いません。

――コロナから子どもの発達を守るにはどうすればよいでしょうか。

 4~5月の世界的なあの雰囲気では、休校・休園も致し方ないだろうと思います。しかし、現段階において、幼保や小中学校といった人間関係をつくっていかなければならない場では、感染リスクをどこまで許容するかという議論が必要です。

 いまは、心配性の親御さんは「手を洗いなさい、マスクしなさい」と子どもを叱りつけ、学校もクラスター(集団感染)を出さないようピリピリしていますよね。その気持ちは理解できますが、小中学校であれば、そこまで過敏に反応する必要があるのか疑問です。