超楽チン理解 決算書100本ノック#5
Photo by Ryo Horiuchi

新型コロナウイルスの感染拡大により、原油価格の下落と大幅な石油製品の需要減少が石油元売り業界を直撃した。事業環境は全く同じなのに、再編によって“2強”となったENEOSホールディングスと出光興産の2021年3月期中間決算は、明暗が分かれた。特集『超楽チン理解 決算書100本ノック』(全17回)の#5では、財務諸表からその要因を徹底解明する。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

事業環境は同じなのに
ENEOSは最終黒字、出光は最終赤字

 2017年に業界首位の旧JXホールディングス(HD)と3位の旧東燃ゼネラル石油が統合し、JXTG HD(20年に商号変更、ENEOS HD)が誕生。さらに19年に2位の出光興産と4位の昭和シェル石油が経営統合を果たし、石油元売り業界は“2強”体制が完成した。

 特にJXTGの誕生により、シェア維持のための過当競争が終わりを迎え、両社は好業績をたたき出してわが世の春を謳歌していた。

 もともと業界再編は、国内の石油製品の需要が40年には17年に比べて半減するという最悪のシナリオに備えたものだった。既存事業の効率化を図って安定的に収益を上げ、生み出したキャッシュを次の成長事業に充てるのが大きな狙いだった。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が、わが世の春を謳歌していた石油元売り業界を襲った。

 20年3月期決算は、国内需要の低迷と原油価格の暴落による在庫評価損が直撃し、ENEOSも出光も巨額の最終赤字に転落した。その後、国内需要も原油価格も一定程度回復し、両社とも業績は反転するかに見えた。

 ところが、である。石油元売り業界を取り巻く事業環境が同じにもかかわらず、最新決算では両社の明暗が分かれた。

 両社とも売上高の前年同期比減少率は30%台と同じ傾向を見せたが、ENEOSが最終黒字を確保する一方で、出光は最終赤字を計上したのだ。

 実のところ、両社の明暗を分けたのは、ある裏事情が関係していた。