一夜にして目標達成した
クラウドファンディング

 ちょうどその8月ごろから、担当の会計士さんがいろいろ対策を考えてくれました。出前やお弁当の販売、クラウドファンディングなど、山食存続のための提案をしてくれたのです。

 ただ、出前はオートバイや自転車で外部の人が大学内に入ってきますので、大学も許可を出すのが難しい。お弁当もキャンパスの外で売らないと意味がないのですが、その売る場所がなかなか見つかりません。

 11月ぐらいになって、さすがに何とかしなきゃいけないと大学に相談しました。そのときに、「クラウドファンディングをしてはどうか」という話になったんです。クラウドファンディングといっても実際のやり方は分かりませんから、大学4年生になる孫にどうすればいいかと聞きました。そしたら、孫が「ちょっと俺やってみようか」って言って手伝ってくれたのです。

 管財部と塾員センターと広報室の方にお話をして、その3者と山食との“4者会談”を、孫を交えてこの山食でやりました。その結果、最終的には管財部など大学の皆さんの協力と応援もあって12月14日にクラウドファンディングをスタートさせることができました。

山食・谷村忠雄社長たにむら・ただお/1939年生まれ。55年山食に入社以来、山食でのキャリアを磨く。90年3代目山食社長に就任。2009年慶應義塾に対する功績から特選塾員に推薦。 Photo by A.Y.

――そのクラウドファンディングは、500万円の目標額をわずか1日で達成、すでに3400万円超の支援が集まっています(1月12日時点)。

 本当にありがたいことです。実は「三田評論」(慶應義塾の機関誌)や「慶應塾生新聞」(学生紙)でも紹介してもらえる予定でした。ですが掲載号が出る前から、目標をクリアしてしまいました(受け付けは1月27日まで)。

――3000万円ほどあれば、経営はだいぶ安定しますか。

 このコロナ禍がどこまで続くのか分かりませんが、2年ぐらいは持つ水準だと思います。ただ、返礼品や発送料、手数料などの諸経費もありますので、手元に残るのは3分の2ぐらいだと思います。

――1日で目標を達成してしまうというのは、やはりOBのネットワークの力の強さを感じさせます。