相続直前の高級マンション購入など
「やり過ぎ」はご法度

 その理由は、相続直前に高級賃貸マンションを2棟購入したこと、相続してから9カ月後に1棟を売却したこと、銀行から融資を受ける際に「相続税対策のための不動産購入」と書いていたことなどだ。

 これらあからさまな相続税対策の結果が9億円超の相続財産評価額の減少であり、裁判所は「やり過ぎ」だと判断したわけだ。

 他にもタワーマンションを相続直前に購入するなど同様の案件が否認されているが、それよりも金融資産があるならば、親名義でマンションを買って子を住まわせればよい。「親名義のマンションに子が家賃を払わずに使用貸借として居住するのは普通のことだ」と弓家田良彦税理士。

 この場合、親の死亡時に子がマンションを相続すれば、そのマンションの相続税評価額で相続できる。現預金の相続よりも通常は評価が安く済むため、それだけで立派な生前贈与の代わりとなるのだ。

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