米中が衝突を回避する「4C関係」、日本が“嫌中・媚中煽り”より優先すべきこと米中関係は「4C」の関係にあって、決定的対立に至らない要因が内在している(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 今年も米中対立は激しさを増すだろうが、中国の意図をどう読むのか、中国に抗する米国の戦略は奏功するのか、そして日本が米中対立の先鋭化から不利益を受けるとしたら、どういう状況なのか――。日本は冷静な分析と判断が必要だ。

 中国は、当面、アジア太平洋の西半分の覇権的統治を目指しているのではないか。経済的にもデカップリングで追い詰められるほど、国家資本主義を基本にした我が道を行こうとするだろう。

 そうさせないためにも、日本の役割は重要だが、気がかりな点がある。

大きく変わった中国の「意図」
太平洋の西半分の覇権を求める

 習近平総書記(国家主席)が登場するまでの中国は、基本的に鄧小平氏の路線に従っていた。

 鄧小平氏は文化大革命で混乱に陥り、経済が停滞してしまった中国の近代化のために改革開放路線を唱え、「白猫であれ黒猫であれ、ネズミを捕るのは良い猫である」として、経済成長のために外資の導入を図った。

 民主主義を基盤にした市場経済との「一国二制度」を提唱し、香港の返還に道を開いた。外交姿勢も、中国が強くなるまで爪を隠し対外的に低姿勢を取るべしとする「韜光養晦」を提唱し、中国は民主主義諸国との関係強化を進めた。

 だが、今の中国は鄧小平路線を大きく離れている。

 習近平総書記は「中国の夢」を語り、2049年の中華人民共和国建国100周年までに「社会主義現代化強国」を構築することを掲げている。

 要するに米国と並ぶ強国の地位に上り詰めようということだ。