新横浜線構想を後押しした
都市鉄道等利便増進法の施行
両構想を後押ししたのが2005年8月に施行された「都市鉄道等利便増進法」だ。これは都市鉄道の利便性を向上させるために連絡線等を整備する事業において、巨額の建設費を補助し、事業を促進するために制定された法律だ。
同法は「受益活用型上下分離方式」と呼ばれるスキームを採用した。上下分離とは列車を運行する「営業主体(上)」と、路線を建設する「整備主体(下)」で役割を分担する仕組みだ。
具体定には独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が整備主体として線路設備等を建設し、営業主体(今回であれば相鉄と東急)は施設使用料を支払って整備主体から設備を借りて列車を運行する。
整備費用は国が3分の1、地方自治体が3分の1を負担し、残り3分の1を鉄道・運輸機構が借り入れて調達する。鉄道・運輸機構は営業主体が支払う施設使用料で借入金を償還するという仕組みだ。
都市鉄道の整備費用は自然と巨額になるが、そのうち3分の2を国と地方が負担する仕組みができたことで大規模鉄道計画が加速することになった。相鉄・JR直通線と相鉄・東急直通線は2006年6月、国土交通省に認定され事業が正式に動き出した。
当初は相鉄・JR直通線が2015年度、相鉄・東急直通線が2018年度の開業を予定していたが、用地取得の難航や工事の遅れにより開業は延期となった。事業費は当初計画では約2739億円だったが、物価上昇や工期延長の影響で約4022億円に膨れ上がった。
前述のように事業費は国、地方、営業主体が3分の1、つまり約1341億円ずつ負担する。営業主体負担分の内訳は相鉄が約542億円、東急が約800億円だ。