国土交通省鉄道局鉄道事業課が9月1日に運輸審議会に提出した資料によれば、2026年度以降の施設使用料は相鉄が約21億円、東急が約33億円だ。これは運賃収入から運行に係る経費を差し引いた額に等しい。つまり想定通りの利用があるならば相鉄新横浜線・東急新横浜線単体では利益を生まないものの、損失も生じないという仕組みである。

 ただコロナ禍以降の鉄道利用減少と、相鉄沿線の横浜市旭区、泉区、瀬谷区の人口減少が予測を上回ったことで、利用者数は当初想定から約3割減少する見込みだ。実際、コロナ禍の直前に開業した相鉄・JR直通線の利用(2019年11月~2020年11月)は、想定の半分以下となっている。

 この結果、収支を合わせるためには新横浜線の利用者に対して上乗せする加算運賃を増額する必要に迫られた。横浜市会建築・都市整備・道路委員会における横浜市都市整備局の答弁によると、羽沢横浜国大~新横浜間は当初30円の想定が40円、新横浜~新綱島駅間(新綱島駅は綱島駅と同一駅扱いのため新綱島~日吉間に加算運賃は設定されない)に至っては20円から70円へと大幅に増加したという。

 事業の遅れによる事業費の増額や外部要因の変化による需要減は利用者負担に反映され、それがさらなる利用の減少を招く可能性がある。国や地方が巨額の負担をしているだけに、開業して終わりではなく、相鉄・東急ともに路線の活用を図る必要がある。

 事業化に向けて検討が進む「新空港線(蒲蒲線)」や「都心部・臨海地域地下鉄」も都市鉄道等利便増進法の認定を検討しており、新横浜線の成否は同法の今後も左右する。