ただ、オウム返ししときゃいいんだと思ってしまうと、ほんとにあなた話を聞いてないでしょっていう風になっちゃうから、ちゃんと中野さんの仰るように、聞いてるっていうことを相手に伝えるために、「え、それどういうこと?」と聞き返した方がいい。話を促すとか、話をもう一つ次に展開させるとか、あなたの話を聞いてますよっていうサインをだしてあげると相手も安心します。

相談する時は目的を決める

鴻上 自分が相談する時も、何を一番目的とするか決めておくということがすごい大事だと思います。お互いが、ガス抜きをしたいっていう目的だとすると、片っぽが散々喋った後に、じゃあ、今度は私の話を聞いてねっていうふうに、お互いがガス抜きし合えるでしょう。

 ただ、自分がすごい大変な問題を抱えていて、相手が抱えてない時に、問題を解決するアドバイスを求めているのか、それともただ愚痴を聞いてほしいのか、何が目的なのかってことは喋る前に決めといた方がいいと思うんですよ。これを解決したいから、知恵が欲しいんだっていう場合は、多分相手はじっくり聞いてくれるし、ちゃんと有効かどうかわからないけど、アドバイスはくれると思うんです。

 だけど、すごいつらいことがあったとか、すごい仕事がしんどくて愚痴りたいっていう時は、気をつけたほうがいいですね。片方が愚痴りたい、もう片方が愚痴ること何もないって言うときに、延々と愚痴を言うと、相手に重圧とかしんどさが伝染るだけ。人の話聞いて、嫌な気持ちになって終わってしまうわけで、これでは人間関係は続きにくいですね。

中野 その場合は何か明示的に利益が相手にもたらされる形でお返しをするといいと言われてます。

鴻上 そうそう。とにかく自分だけが愚痴を聞いてもらうわけで、お互いさまじゃないんだから、ごめんねっていうことは、ちゃんと示しておいた方がいいですよね。

 ただ、長い友人関係だったら、前回は私がいっぱいあなたの愚痴を聞いてあげたから、今日は私の聞いてねっていう、長い期間だと成立することはありますよね。