いすゞを率いる片山正則社長は2015年6月に就任してから8年、本社も昨年大森から横浜に移し片山体制を盤石化させてきている。いすゞはトヨタと資本提携したものの、スウェーデンのボルボとも戦略業務提携をし、ボルボ傘下のUDトラックス(旧日産ディーゼル)を21年に統合しているが、これも片山氏の手腕によるものといえる。

 過去、水面下で両社の統合論議が行われたこともあるが、日野自の経営の方向といすゞのポスト片山の方向次第で、今回こそ統合の実現の可能性も出てきたといえよう。

 片山社長は豊田章男自動車工業会会長体制の下で初めて商用車代表として副会長として登用されるなど、豊田章男社長からも信頼されている様子だ。今年の自動車5団体賀詞交歓会でもコロナ陽性で欠席となった章男会長の代わりに、筆頭副会長の片山副会長が来客者を出迎える場面があった。

 トヨタが日野自の今後の方向性として、いすゞとの統合も構想しているのか。それ自体は定かではない。

 もちろん、日本の商用車メーカーが現状日野自、いすゞ&UDトラックス連合に、ベンツ傘下の三菱ふそうの3グループとなっている中で日野自・いすゞ統合となると、外資の三菱ふそうとの2社体制となることで、独占禁止法上の問題も懸念されるので、日野自といすゞ・UDの各ブランドを残す緩やかな「連合企業体」の方向もありうる。

 一方で、ダイハツ工業のように、トヨタがいずれ日野自を100%子会社化し、上場廃止させ本格再生の道を歩んでいく可能性も十分あると筆者はみている。

(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)