本来なら昨年中に合意がなされ12月には3社首脳会見を予定していたが、結局議論は年を越え、1月末に合意共同声明、2月6日に3社首脳会見となった。昨年2月のルノーEV分社化公表から1年を経過しての正式合意に至ったのである。
日産にとって「独立記念日」ともいえるルノーとの対等出資合意だが、日産の内田誠社長は「対等の立場でいることで、アライアンスが次のレベルへ踏み出すことができる」と、あくまで将来の成長を描くためであることを強調した。それでも資本のくさびから外れた日産がこの新しい船出によって、大変革の時代に企業価値を向上させるため、ルノー以外の「新たなパートナーシップ」を求めて動く可能性もあり得よう。
また、今後は日産・ルノーが対等な関係となる中で、三菱自がどう動くかも注目されよう。三菱自は業績悪化した16年に日産が34%出資し「子会社化」した経緯がある。つまり、ルノーの子会社が日産で、日産の子会社が三菱自という3社の関係性が、今後どのように変わるのかが焦点になる。
欧州で厳しい戦いを強いられるルノー
事業改革への焦りが背景に
ここで、ルノーの状況について改めて整理しておこう。
先ほど触れた通り、仏ルノーは昨年11月にパリで事業改革説明会を開き、事業を5分割し、EV部門の新会社アンペアにクアルコムが出資することを発表した。また、グーグルと車載向け基盤ソフトなどの共同開発で提携することも発表した。アンペアに加え、ガソリン車・ハイブリッド車など内燃機関車エンジン部門のホース、スポーツ車の「アルピーヌ」のほか、金融サービス、モビリティおよびリサイクルサービスの5つに分割。エンジン部門のホースは、中国・浙江吉利控股集団の吉利汽車と折半出資する新会社となる、というものだ。