4月1日にトップ就任して早速公聴会に登場した、東京電力エナジーパートナーの長﨑桃子社長4月1日にトップ就任して早速公聴会に登場した、東京電力エナジーパートナーの長﨑桃子社長 Photo:JIJI

家庭向け電気料金の値上げを巡る国の審査は終盤戦。東京電力エナジーパートナーの公聴会では、高給と原発に批判が噴出した。同社の説明も理にかなっており、議論は堂々巡りとなった。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、東京電力が抱える”呪縛”もにじんだ公聴会の様子をお届けする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

値上げ反対派と東電EP幹部の間で、堂々巡りの様相

 大手電力7社が国に申請している家庭向け電気料金「規制料金」の審査が終盤戦に突入している。

 審査は、各社が申請した規制料金の値上げ幅とその根拠となる原価の積み上げを厳しくチェックするわけだが、終盤では利用者である国民の声を聴く公聴会が実施される規定となっている。

 そして、7社の中で「真打ち」ともいうべき電力小売り最大手、東京電力エナジーパートナー(EP、東京電力ホールディングス〈HD〉完全子会社)の公聴会が4月13日に開かれ、同1日に東電EPトップへ就任したばかりの長﨑桃子社長が登場した。

 長﨑社長は、東電HD次期社長の有力候補の一人。燃料価格高騰による逆ざやに苦しむ東電EPは2023年3月期に2度もの増資を実施し、東電HDの同期の最終純損失3170億円(本稿執筆時点の予想額)の“主犯”だ。立て直しに向け、長﨑社長の経営手腕に注目が集まる。

 立ち居振る舞いや受け答えに業界関係者の関心が集まったが、長﨑社長は手元のノートパソコンの画面にたびたび目線を落とし、無難な発言に徹して乗り切った。

 さて公聴会の内容は、値上げ反対派と東電EP幹部の間でどちらの意見も筋が通る「二律背反」となり、堂々巡りの様相を呈した。

 業界最大手であり、かつ福島第一原子力発電所の事故を起こした東京電力(現東電HD)が向き合い、これからも向き合っていかなければいけない“呪縛”を改めて浮き彫りにするものだった。