注目テーマをメッタ斬り! “人気株”の勝者・敗者#1Photo:Yuichi Yamazaki/gettyimages

中国経済の成長を取り込むことで業績を伸ばしてきた「中国関連株」。中国の行動制限の解除によって再び注目されているが、この20年で中国経済は変貌しており、今後は業界や競争力によって二極化が進む可能性が高い。特集『注目テーマをメッタ斬り! “人気株”の勝者・敗者』(全18回)の#2では、中国メーカーが台頭する中でも高い競争力を持つロボット業界の注目3社を紹介する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

中国の国内メーカーが台頭する中でも
圧倒的な競争力を持つ「ロボット」に注目

 バイオテクノロジーや暗号資産(仮想通貨)、メタバースなど打ち上げ花火で終わるテーマも多い中、2000年以降の日本市場をけん引した骨太テーマが「中国関連株」だ。鉄鋼、海運、半導体製造装置、トイレタリーなど中国関連株は多岐にわたるが、特に機械セクターには中国の急成長を取り込むことで業績と株価を大きく伸ばした銘柄が多い。

 中国は新型コロナウイルスの感染拡大以降、厳しい行動制限で経済が停滞していたが、2023年1月に「ゼロコロナ政策」を解除。23年1~3月の国内総生産(GDP)は実質で市場予想を上回る前年同期比4.5%増となり、市場も再び中国関連株に注目している。

 では、今こそ機械セクターは仕込み時なのかというと、そう単純なものではない。今後は機械セクターに属していても、サブセクターごとに業績や株価の明暗が分かれる可能性が高い。中国の国内メーカーの成長や、産業構造の変化によって事業環境に差が出てきているからだ。

 大前提として、機械セクターは景気の変動で業績が大きく上下する「シクリカルセクター」である。そして重要なのは、「機械セクターの中にも『横ばい(シクリカルフラット)』『上向き(シクリカルグロース)』『下向き(シクリカルディクライン)』の3種類のサブセクターがある」(岡三証券の諸田利春シニアアナリスト)ことだ(下図参照)。

 当然ながら個人投資家が中長期で狙うべきなのは「シクリカルグロース」に属する企業である。業種としては「ロボット、FA(ファクトリーオートメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)、GNT(グローバルニッチトップ)などが該当する」(諸田氏)という。

 特にロボットやFAは「中国関連」にとどまらない。

「ポストコロナの非接触需要の高まりなど新常態や、米中貿易摩擦に伴う中国偏重のサプライチェーンの見直しによる工場数の増加も追い風」(諸田氏)であり、中長期で業績の伸びが期待できる。

 矛盾するようであるが、ロボットやFAは中国関連であり、脱中国関連でも注目の業態だといえるだろう。

 一方、かつては中国の成長を取り込み、「中国関連株」として市場で脚光を浴びていた機械セクターの企業でも、中国の国内企業の台頭で競争力が低下したり、産業構造の変化で大きな成長が期待しにくかったりする企業もある。投資経験の長い中級者ほど過去のイメージにとらわれやすいだけに、アップデートが必要になるのだ。

 次ページでは、二極化する「中国関連株」の強弱を機械セクター中心に解説。各社の特徴や投資アイデアはもちろん、中長期で期待できるロボット関連の3社の具体名も紹介していく。