秘訣 その(1)
「短期間でスコア改善」には要注意

 短期間でスコアが改善しなかったら返金することを広告で打ち出しているゴルフレッスンを見掛けたことはありませんか。僕は、この考え方にあまり賛同できません。むしろ、怪しいと思っています。

 確かに期限を区切って、スコアの目標を設定するのは悪くないことです。しかし、成長のスピードは人によって違います。僕はたくさんのプロを指導していますが、すぐに結果が出る選手もいれば、なかなか結果が出ない選手もいます。それはアマチュアゴルファーでも同じです。

青木翔・ゴルフティーチングプロあおき・しょう/1983年生まれ。USGTFティーチングプロ。2019年、コーチ兼キャディーとして渋野日向子プロの全英女子オープン制覇に貢献。兵庫県を拠点に「AOKI SHO GOLF ACADEMY」を展開。

 短期でスコアアップを狙うのは、いわば対症療法のようなもの。どんなゴルファーを目指すかにもよりますが、長期的にゴルフを上達させたいと考える方にはお勧めしません。ダイエットでリバウンドしてしまうように、長続きしないのです。

 ちなみに“師弟コンビ”を復活させて今僕がコーチをしている渋野日向子プロの場合、スイングを改善しながら米LPGAツアーで結果を残さなければならないという難しい状況に置かれています。これは特殊なケースです。

 渋野プロには、短期的にスコアアップを狙う対症療法となるアドバイスも加えつつ、長期的にスイングを改善するコーチングをしています。

 最近の渋野プロの成績を見れば分かるように、対症療法をしたところで、すぐに“復活”優勝できるわけではありません。ツアーのトッププロですら、短期的にスコアを改善して結果を残すのは難しい。アマチュアゴルファーなら、なおさらです。

 同じコースでも、ラウンドする日によって条件が異なります。前日に雨が降ってグリーンの状態が違ったり、風が強かったりします。ピンの位置によって、難易度も大きく変わります。いくら練習を重ねてもすぐスコアに直結しないのが、ゴルフの難しさであり、面白さなのです。

秘訣 その(2)
「●●プロを参考に」は逆に質問しよう!

「●●プロがやっている練習だからやりましょう」「●●プロの動きを参考にしましょう」。レッスンプロに習った方なら、こんなことを言われた経験があるでしょう。ありがたいような一言ですが、その人に適しているアドバイスかどうかは微妙なところです。

 ゴルフのスイングは千差万別です。なぜなら、人によって体格が異なるからです。身長はもちろん、腕の長さや筋肉の質も違います。単純に「●●プロだから参考にしましょう」というのを、アマチュアゴルファーに当てはめて教えるのは、危険です。

 例えば、身長180センチの僕が、タイガー・ウッズ選手のスイングを参考にしても意味がありません。ウッズ選手は僕より身長が約5センチ高い上、スイングの軌道やインパクトの入射角も異なります。そもそも、僕がウッズ選手のまねなんかできません。まねしようとすれば、僕のスイングがバラバラに壊れます。

 もし今後、「●●プロを参考にしましょう」と言われたら、「なぜですか」と逆に質問してみましょう。それに対して、納得のいく答えが得られるかどうかで、そのレッスンプロの力量が分かります。

秘訣 その(3)
「独自の●●理論」を振りかざすのはNG!

 レッスンプロが最新のゴルフ理論を勉強するならまだしも、アマチュアゴルファーはゴルフ理論を学ぶためにレッスンに通うわけではありません。「独自の●●理論」を強調しているレッスンプロやゴルフスクールも、気を付けた方がよいと思います。

 繰り返しになりますが、ゴルフのスイングは千差万別。そのレッスンプロが掲げる独自の理論というのが、その人に合うかどうかは別問題です。

 昔から独自の理論とやらを振りかざすレッスンプロは、少なくないです。そのせいか、中級者以上の方から「レッスンプロにスイングをバラバラにさせられてスコアが悪くなり、ゴルフが嫌になった」という声をよく聞きます。

 これからもっとゴルフを好きになりたい、うまくなりたいと思っているのに、もったいないですよね。

 大事なのは、レッスンに来た人の体格やスイングの特徴をよく分析するかどうか。その上で、「どんなスコアを目指すのか」や「どんなスイングの悩みを抱えているのか」をしっかりヒアリングしてくれ、それに基づいて、その人に合ったスイングや練習方法を指導するレッスンプロがよいでしょう。

 レッスンプロがアマチュアゴルファーを指導する上で、しっかりした理論を持っておくことは、もちろん大事。しかし、その理論を押し付けてくるレッスンプロはNGです。

Key Visual by Noriyo Shinoda