トヨタ 史上最強#1写真提供=トヨタ自動車

トヨタ自動車の変革の鍵を握る、気鋭のソフトウエア開発子会社、ウーブン・バイ・トヨタに不穏な気配が漂っている。トヨタの豊田章男会長と、同子会社幹部を務める長男、豊田大輔氏に隙間風が吹いているという。特集『史上最強 トヨタ』の#1では、トヨタの未来を左右する電機自動車(EV)などの競争力に影響を及ぼしかねない、車載OS開発などを巡る混乱、そして豊田親子の不和の真相に迫った。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

トヨタ本体とソフト開発子会社が衝突
原因は「車載OS」巡る不一致

 トヨタ自動車が2018年、鳴り物入りで立ち上げたソフトウエア開発子会社が変調を来している。

 同子会社は、トヨタが「100年に1度の大変革の時代を生き抜く」(豊田章男会長)ための変革の推進役として位置付けられていた。トヨタ本体とは違う仕事の進め方ができるよう、役員構成やオフィスのデザインなどが配慮されていた。社名も、あえてトヨタの名を冠さずウーブン・プラネット・ホールディングス(HD)とした。従来のトヨタ流の開発とは一線を画し、オープンイノベーション“活性化”の発信地にするとの触れ込みだった。

 ところが今年4月、同社の社名はウーブン・バイ・トヨタに変更され、章男氏の側近のトヨタ幹部らが多数送り込まれた。ソフト開発子会社の全権を委ねられていたジェームス・カフナーCEO(最高経営責任者)や豊田大輔シニアバイスプレジデント(章男氏の長男)からすれば占領軍に駐留されてしまったようなものだ。

 次ページでは、章男氏と長男の大輔氏の間に隙間風が吹く要因になっている、トヨタとソフト開発子会社の「確執の背景」に迫る。