StartPass 代表取締役 小原聖誉

「これから5年間でエクイティ調達額を年10兆円規模、スタートアップ社数を10万社に」を掲げていますが、施策としては別ものだと考えられます。10兆円は「べき乗数」であり、時価総額の大きいスタートアップをつくっていく“質”の施策、10万社はスタートアップの裾野を広げる“量”の施策で、アプローチが全く異なるからです。

スタートアップの定義を「非連続な成長を目指す、テックを活用した企業」ということにすると、0から創業する会社をたくさん増やすということだけではなく、従来SMB(Small and Medium Business、中堅・中小企業)だった会社を“スタートアップ化”していくことのほうが実効性があるかもしれません。

デライト・ベンチャーズ マネージングパートナー 渡辺 大

政府のスタートアップエコシステムに対する施策が急激に存在感を示し、とても心強いです。米国もフランスも、政府の長期的な関与なしに、今あるスタートアップエコシステムの発展はありませんでした。日本のエコシステムが世界に追いつく最後のチャンスかもしれません。日本人が得意なことではないのかもしれませんが、こればかりは、業界の参加者が一体となって政策をサポートしていくべきだと思っています。

施策によっては、現場の感覚や信条的に「これは違うのでは」と思うものもあるかもしれません。それも建設的にフィードバックしていくことが求められると思います。全施策の正確性よりも、これまで大企業を優先してきた日本の経済政策が、ここまでスタートアップエコシステムにエネルギーを注ぎ、各省庁を巻き込んで大プロジェクトを作り上げている、ということのほうがはるかに重要性が高いと、個人的に思っています。デライト・ベンチャーズの立ち上げ後、お話しする機会をいただいた官僚の方々の危機感の高さや前向き度には、頭が下がります。業界全体で盛り上げていきましょう。

三菱UFJキャピタル 投資第二部部長 田口順一

スタートアップ支援に国策として取り組み、成長のエンジンとして活用していく考え方は非常に共感できますし、期待もしています。個々の施策で有意だと感じているものは、下記の通りです。

・学生への起業家教育の強化
お金の出し手は増えているものの、まだまだ起業数自体は不足していますので、より起業を身近に感じてもらう施策は歓迎です。

・スタートアップへの投資を促すための措置
税制優遇等により成功している創業者等の個人の資金がスタートアップへの資金供給に向かう点は、健全なエコシステムが機能するためにもより促進されるべきだと感じています。