総予測2024#41Photo:PIXTA

モノやサービスの価格やコストの上がり下がりで、企業から家庭までが振り回されている。なぜ値上がりするのか。なぜ値下げできるのか。「コンビニ」「電気料金」「新車」「半導体」「建設」「物流」「楽天経済圏」「預金金利」の八つについて、価格やコストを軸に、企業や業界の深層と24年の予測を担当記者が語る。特集『総予測2024』の本稿では、後編として、建設、物流、楽天経済圏、預金金利の四つにズバリと斬り込む。(ダイヤモンド編集部 臼井真粧美、堀内 亮、梅野 悠、村井令二、片田江康男)

>>前編『電気代を値下げする電力会社はどこ?新車価格はまだ上がる?【24年「8つの価格」を記者が先読み!前編】』から読む

【建設】
大阪万博は問題だらけ
建設費は膨張し、着工遅延も深刻

臼井真粧美デスク

臼井真粧美デスク 残業時間の上限を定める「時間外労働の上限規制」について、猶予期間が与えられていた建設業やトラック運転手でも2024年4月から適用されます。25年4月に開催される国際博覧会(大阪・関西万博)の建設工事で早くも特例で適用除外を求める声が出ているね。

堀内 亮記者

堀内 亮記者(ゼネコン・不動産業界担当) 資材高と人手不足でゼネコンと参加国の間で価格の折り合いがつきにくく、交渉が進んでいないんですよ。パビリオンの建設は、常識的に考えたらもう開催までに間に合わない。

 間に合わせるためのウルトラCが、上限規制の適用を取っ払うというもの。でもそれをしたところで人を集め切れないから、周辺の大阪の交通インフラ工事などを全部止めて後回しにする。そして万博にそのまま全部投入する。

 やれるわけないだろうけど、そうするしかないほどに危機的状態なんです。

臼井D 万博は当初1250億円を計画していた会場建設費が最大2350億円まで上振れする見通しが出て、非難を浴びている最中。国と大阪府・市、経済界が3分の1ずつ負担するので、国民や地元住民は怒りをあらわにしている。

堀内記者 建設が遅れれば遅れるほど、人の手当てに苦労して、人件費もかさんでいく。ウルトラCをやるとなったら、それこそ上乗せで人件費がかかります。

【物流】
運転手の残業時間規制で
物流費の高騰必至

臼井D トラック運転手の残業時間規制により輸送能力が不足する「2024年問題」。業界の対応は進んでいる?

「2024年問題」を前にして、ヤマト運輸や佐川急便などはすでに運賃値上げを実施している。今後さらなる値上げはあるのか。次ページでは、物流費を巡る業界の内情を詳らかにする。また、楽天経済圏の携帯料金やポイント、定期預金に「金利が付く世界」が戻ってきた預金金利、それぞれの行方に担当記者がズバリと斬り込む。