総予測2024#60Photo by Reiji Murai

2024年、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手キャリア3社は携帯電話料金の「実質値上げ」へと攻勢を強めそうだ。その一方で、第4のキャリアの楽天グループの財務危機は深刻化して、窮余の一策が迫られる。特集『総予測2024年』の本稿では、通信業界「3強・1弱」の先行きを大胆に予測する。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

「冬の3年」終える大手3キャリアと
財務危機がピークを迎える楽天の“明暗”

 2024年の通信業界は携帯電話料金の「官製値下げ」の影響が一巡し、通信料収入の反転上昇が期待できそうだ。

 ただし、それはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3キャリアに限られる。第4の通信事業者の楽天グループは、引き続き厳しい経営となるだろう。

 菅義偉前政権時の官製値下げの打撃は、1人当たり売上高(ARPU)と通信料収入の推移に表れている。大手3キャリアは21年に格安の料金プランを相次ぎ導入したことで21~23年度の3年間に右肩下がりの展開を強いられた。

「冬の3年」を経て24年に「V字回復」が見込まれる要因は、官製値下げの影響一巡だけではない。値下げのステージを終えた大手3キャリアは、すでに「実質値上げ」へとそろりと踏み出している。

 一方で、楽天の携帯事業の財務危機は24年に最初のピークを迎えそうだ。設備投資資金を削減している楽天は、他社回線を借りる「ローミング」への依存を強めている。

24年は、大手3キャリアが反転攻勢をみせる一方で、楽天の財務危機は一段と深刻化する。通信業界の「3強・1弱」の構図は続くが、地殻変動の兆しも見えてきた。次ページで、その予測を詳述する。