兼業農家が離農
→太陽光パネルがズラリ
実は私の実家も兼業農家でした。祖母から父の代まで細々と農地だった場所は、今は空き家と耕作放棄地になっています。つい先日、それをどうするかを考えるために帰省しました。
帰省して驚きました。帰省するまでは漠然と、「空き地は太陽光発電か何かで活用するかな?」と思っていたのですが、帰省してみた光景はまさにその通りでした。
私の故郷で10年前には農地だった場所が、今ではまとまった形で太陽光発電施設になっています。
車で走ってみるとわかるのですが、国道沿いにひろびろとした農地があって、途中である一角が急に広い太陽光発電設備になるとい光景が延々と続いているのです。そこから容易に想像がつくのは、
「こことあそことあのあたりは離農したのだろう」ということです。
農地を太陽光発電所にするためには、農地転用の認可が必要です。一般的には耕作放棄地を農地以外に転用することは簡単ではなかったのですが、最近の脱炭素、グリーン電力重視のご時世で、以前よりも農地転用がやりやすくなってきているのでしょう。目の前に広がる太陽光発電設備を見ると、そのことが確信できます。
戦後の農地改革で、日本では多くの農業従事者が自分の農地をもてるようになりました。実は私の実家は農地を差し出した側で、子どもの頃、車で自宅の周辺を走るとよく祖母が、「ここもあそこも、昔はぜんぶうちの田んぼだったんだよ」と恨み半分で教えてくれたものでした。
農地改革の精神を守るために制定されたのが農地法で、この法律によってふたたび大地主が農地を集約する動きが起きないようになりました。このことが実は、副作用として長年、農業の大規模化を妨げてきたのでもありました。