高齢化+気候災害で国際的な農作物価格が上昇
「食糧安保に重要な農業」が大ピンチ

 ここにひとつ、現在、農業の未来を手づまりにしている要因があるのですが、まずは状況を整理していきたいと思います。

 農林水産省によれば現在、自営農家の平均年齢は68.4歳で、農業人口の86%を65歳以上が占めるということです。言い換えるとこのままだと15年後には今の86%が80歳を超えるわけで、必然的に離農世帯が増加します。

 その影響はというと、今107万戸ある農家の数は、2040年には30万戸前後、2050年には17万戸まで減少します。それまでに日本の人口も16%減りますが、農業生産は半減すると予測されます。

 直近の日本の食料自給率はカロリーベースで38%でG7で最も低い状況ですが、今から25年後には20%以下に落ち込むことになるわけです。

 脱炭素の電力供給増という視点では好ましい足元の離農状況も、食料安保で考えると危機的な問題です。

 日本ではあまり報道されていませんが、今ちょうど、ブラジル南部の農業地域で大規模な水害が起きていて、結果として農作物や鶏肉などの国際価格がこの夏にかけて上昇しそうな状況になっています。

 今回の事態だけでなく、気候災害による国際的な農作物価格の上昇はこの先、世界的な大問題になっていくはずです。

 では、日本の農業はどうすべきでしょうか。高齢化による離農が問題なら、論理的には法人化がひとつの解決になると考えられるかもしれません。

 私の友人が大手商社で農業ビジネスを担当しているので話を聞いてみると、農業の法人化に長年取り組んできてわかったことは、海外の方がずっと儲かるということでした。

 日本の農地では大規模法人化しても儲けが薄く、結果としてブランド野菜や果実など高付加価値農業にしか興味がわかないというのです。

 さて、ここまでの状況から、私の専門である経済の未来予測の観点で日本の農業がどうなるのか、状況をまとめていきましょう。