1913年に(大正2)に創刊した「ダイヤモンド」は、2024年に111周年を迎えた。そこで、大正~令和の日本経済を映し出す1年1本の厳選記事と、その解説で激動の日本経済史をたどる「111年111本」企画をお届けする。第3回は昭和の戦前期、1927~33年までの8年間だ。(週刊ダイヤモンド/ダイヤモンド・オンライン元編集長 深澤 献)
【15】1927年
昭和金融恐慌を見事に鎮めた
高橋是清蔵相の早業
「今日、東京渡辺銀行がとうとう破綻した。なんとか救済しなければならない」
1927年3月14日、衆議院予算委員会で、震災手形の処理の過程で銀行が破綻したらどうするのかという議員質問に対し、片岡直温蔵相がそう発言した。
実際は、この時点で同銀行は破綻した事実はなく、この発言がきっかけで取り付け騒ぎが起こる。実際、蔵相の失言翌日に東京渡辺銀行は休業し、さらに他の銀行にも取り付け騒ぎが広がり、休業に追い込まれる銀行が続出する。
これが昭和金融恐慌の始まりだった。