保険ラボ

2024年7月に生保協会長に就任した明治安田生命保険の永島英器社長。外貨建て保険の販売・管理体制や営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理体制などのさらなる高度化を目指すに当たり、「顧客本位の業務運営が一丁目一番地だ」と言う。その真意を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

外貨建て保険で意識させられた
プロダクトガバナンスの重要性

――8月5日、6日にかけて日経平均株価が歴史的な水準で乱高下するなど、マーケットの変動幅が大きくなっています。外貨建て保険など運用系商品のさらなるマネジメントの強化が、生命保険業界にとって課題となりそうです。

 顧客本位の業務運営が一丁目一番地で、一番大事だと思っています。次に、今回の外貨建て保険などで強く意識にさせられたのがプロダクトガバナンスの大切さです。

 保険商品をつくるときには顧客本位を念頭に置いて、さまざまなお客さまを想定してつくっていますが、実際に販売を始めた後に何が起こっているのか。お客さまへの説明やアフターフォローなど実際に起っていることをつぶさに見た上で、必要に応じて商品の組成や施策などを見直していくなど、動的なPDCAを回していくという不断の努力が必要です。そうした一連のプロダクトガバナンスが大事だと改めて認識させられました。

 一例を上げると、運用による利益が一定の目標額に到達すると自動的に利益が確定するターゲット型の商品です。

明治安田生命,永島英器2024年7月に生保協会長に就任した明治安田生命の永島英器社長 Photo by Yoshihisa Wada

――ターゲット型は話題になりましたね。

 この特則自体は一定のニーズがあります。一般に株式などの投資においては、買うときよりも売るときの方が難しいと言われます。株価がどんと上昇する局面では、もっと上がるのではないかと考えて売りどきを逃しがちだからです。そこで投資するタイミングで一定の利幅に到達したら、利益を確定することを初めから計画しておくことにはニーズがあると思います。

 ですが、米ドル建ての商品において米国金利を5%などに設定するとすぐにターゲットに到達してしまったり、また、お客さまの考えが変化しているにもかかわらず、ターゲットを変更したりしていないなどの事例が見受けられました。この商品は販売した後にターゲットを変更できますが、アフターフォローが十分ではなかったという点を強く認識させられました。

――手数料も問題になりました。