エネルギー動乱Photo:JIJI

第7次エネルギー基本計画策定に向けた政府の各種会合での議論に注目が集まっている。9月27日には自民党総裁選挙の投開票も控えており、エネルギーに関連するものについての議論にも熱が帯びると期待している。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、今夏、エネルギー政策について熱い議論がされた三つの会議体での議論に注目する。(エネルギーアナリスト 巽 直樹)

原子力発電推進に向けた積極的な発言
有識者、経営者、消極的だった政治家まで

 第7次エネルギー基本計画策定に向けた政府の各種会合での議論に注目が集まっている。9月27日には自民党総裁選挙の投開票も控えており、告示の12日以降は各候補者の支持拡大に向けた動きが激しくなるなか、発表される各種政策において、エネルギーに関連するものについての議論にも熱が帯びると期待している。

 もっとも、至近の2カ月弱のさまざまな議論の推移を見る限り、ようやくではあるものの、エネルギー問題に正面から向き合う姿勢での政策論争が展開され始めたと、ポジティブな印象を筆者は持っている。このような状況の下、各候補者のエネルギー政策に関する主張は、日本の未来に直結するため、これまで以上に注視する必要があるだろう。

 例えば、これまでは地球温暖化対策に向けたクリーンエネルギーの議論においては、再生可能エネルギー導入拡大に議論が集中しがちであった。そこには東日本大震災発生以降、クリーンエネルギーの一翼を担うべき原子力発電の推進が、日本では政治的に難しかったことが事情としてある。

 しかしながら、ここに来て原子力発電推進に向けた積極的な発言が、国内のエネルギーコストや安全保障などを懸念している有識者や経営者に加え、これまでは消極的であった政治家にまで見られるようになってきた。各方面への配慮から、この種の議論の前提には、安全性が担保されていることが、常に念頭に置かれていることはいうまでもない。

 このような声が上がる背景には、世界的にも原子力推進へとかじを切る国が、先進国に限らず増えるなか、この潮流に日本が今のままの状態で取り残されていることへの懸念がある。これを放置すると、相対的に高くなるエネルギーコストの影響による国際競争力の低下から、日本の産業空洞化がさらに進行するといった経済情勢への強い危機感があるからだ。