信長の総見院と利家の興臨院

織田信長公「総見院」の織田信長公木像   写真提供:京都春秋

 残り三つの特別公開は、いずれも戦国大名ゆかりの塔頭で行われます。真珠庵からいったん本坊の前に戻り、そこから西へ二つ目の寺院が織田信長の菩提寺である総見院です。こちらも通常非公開で、特別公開は10月7日~11月30日まで。本能寺の変で信長が討たれた後、虎視眈々(こしたんたん)と天下統一を狙う秀吉のもくろみによって建立されました。

 信長の葬儀に際し、慶派の仏師康清が彫り上げた信長公の等身大坐像は、高さ3尺8寸(約115cm)。鋭い眼光の奥を見つめていると、志半ばで倒れた信長公の悲しみがそこはかとなく感じられるような気がいたします。

 本坊から南へ。興臨院は能登の大名である畠山家により創建され、秀吉政権の五大老を務めた前田利家が本堂屋根を修復、前田家の菩提寺としました。室町時代の建築様式を伝える本堂(国の重要文化財)や唐門のほか、「昭和の小堀遠州」と称された作庭家の中根金作が復元した方丈庭園も必見。白砂と石組みで仏様の世界を表現した端正なお庭です。特別公開は9月21日と28日~12月15日となっています。