鏡湖池に映る金閣と紅葉の共演
もちろん龍安寺の境内でも紅葉は楽しむことができます。今年の干支(えと)「龍」にちなみ、2025年3月末までは、細川護熙元総理による方丈ふすま絵「雲龍図」と直筆の書の特別公開も見どころです。画家、陶芸家、茶人としてもご活躍中で、建仁寺や奈良・薬師寺にもふすま絵を奉納されていますよ。おみやげには、石庭をかたどった「石庭文鎮」や、石庭をモチーフにした手ぬぐいが人気です。
龍安寺からきぬかけの路を20分ほど歩けば「金閣寺」に。臨済宗相国寺派の境外塔頭で、正式名称は鹿苑寺(ろくおんじ)といいます。1397(応永4)年、室町幕府3代将軍の足利義満が造営した別荘「北山殿」がその前身。「金閣」と呼ばれるシンボルの舎利殿は、1950(昭和25)年、若き修行僧の放火によって焼失し、5年後に再建されました。
40年ほど前に行われた金箔の張替えでは、10.8cm四方の厚みのある金箔を約20万枚、重さにして20kgほども使用したそうです。鏡湖池に映り込む「逆さ金閣」は必見で、風のない日の美しさはため息もの。まばゆいばかりに輝く金閣を見るなら、西日が差す時間帯がよいでしょう。境内は連日国内外の観光客でにぎわいますが、池のほとりに立てば、人の多さを気にならずに金閣と向き合えます。紅葉と金閣の共演は見逃せませんし、間もなくやってくる冬、白銀の世界にたたずむ金閣の姿も、一度は見たい絶景です。
境内の赤い番傘が立つ茶所では、抹茶と和菓子がいただけます。和菓子は西陣の千本玉壽軒製で、大徳寺納豆入りのあんを包んだ和三盆糖の押し菓子。なんと、金箔があしらわれていて、ぜいたくな気分で一服できます。他では入手できない金閣寺限定品で、おみやげにもおすすめできます。
今回は、「今年最後の京都紅葉案内」として、世界文化遺産に登録されたお寺の紅葉をご紹介していきましたが、それには訳があります。もうすぐ、登録されてから30周年の節目を迎えるからなのです。