当初の会見内容は、「ホンダと日産の経営統合に向けた検討の合意」と、それに対し「三菱自が参画・関与およびシナジーを享受する可能性について検討することを合意」したというもの。
つまり、まずはホンダと日産の経営統合について協議・検討を開始することで合意した段階であり、あくまで三菱自は25年1月末をめどに参画の検討結果を出すにすぎないものであった。
3社連合が実現した暁には「全体で売上高30兆円、営業利益3兆円を超える世界トップレベルのモビリティカンパニーを目指す」とうたったものの、その割には会見での3社トップの表情は硬かった。特に加藤社長は手持ち無沙汰感が否めず、“ついでに会見に出てきた”印象だった。全体のトーンから、世界強者連合誕生への意欲が薄いと受け止めたのは筆者ばかりではないはずだ。
そうした足並みがそろっていない状況から、案の定、三菱自の関与については1月末の“締め切り”を前に、早々と「三菱自、ホンダ・日産の経営統合枠組みへの合流見送り」の報道が流れたのだ。加藤社長は、あくまでも「当社の発表したものではない」と述べ、ホンダと日産が統合の協議の判断時期を延長したのに合わせ、2月中旬までに検討の時期を遅らせるとした。
ホンダ・日産の経営統合が打ち切られることによって、三菱自がどういう方針を採るかはまだ定かではない。ただし、三菱自の動向を読み解く上で重要なことが一つある。
それは、三菱グループの意向だ。筆者は、三菱自のスタートから今日まで長く取材してきた経験から、三菱自の方向には、三菱グループ、特に三菱商事の意向が強く反映されると捉えている。