
上久保誠人
第291回
来年2月の北京五輪に対して「外交的ボイコット」が相次いでいて、中国が反発を強めている。しかし、米国など、アングロサクソンが中心となった自由民主主義陣営が中国に対して包囲網を張るという構図は、「基本的人権を尊重する」というスタンスと矛盾もはらんでいるのではないか。基本的人権はイデオロギーに関係なく、普遍的なものである。今のボイコットの形は果たして正しいのか。

第290回
総選挙での惨敗により辞任した枝野幸男代表の後任を選ぶ、立憲民主党の代表選挙が本日11月30日に投開票されるが、正直、まったく関心がない。誰が代表になろうと、立憲民主党に将来の展望はないからだ。

第289回
岸田文雄内閣は、新型コロナウイルスの「第6波」対策として、医療体制の確保や法的措置も検討を進めている。しかし現在の医療体制が前提であるならば、医療崩壊に備えた抜本的な解決ではないだろう。そこでモデルとすべきは英国の体制である。

第288回
10月31日、衆議院議員総選挙が投開票された。今回の選挙の特徴は、どの党にも「風」が吹かなかったことだ。実に盛り上がらなかった。しかし、そこでわかったことは、自民党の底力であった。そして、野党の今後のヒントとなり得るのは日本維新の会だ。

第287回
総選挙の重要な焦点の一つが、「野党共闘」が自民党・公明党の連立与党との対立軸を築けるかだ。日本維新の会を除く野党は、小選挙区289のうち、約220で候補者一本化ができたと発表している。しかし、2009年の政権交代当時と比べると、どうも構想に稚拙さを感じる。

第286回
かつて、田中角栄元首相が、首相退任後も政界で隠然たる影響力を保ち「闇将軍」と呼ばれた。今回の総裁選・党役員人事・組閣を通じて、自民党・政府の資金、人事権、公認権、利益誘導の公的な権限・権力を実質的につかんだ「新・闇将軍」が誕生した。安倍晋三元首相である。

第285回
自民党総裁選は、岸田文雄元外相、河野太郎行政改革担当相、高市早苗元総務相、野田聖子幹事長代行が立候補することになった。久々に多数の候補者が総裁の座を争うことで、かつてのような「疑似政権交代」のような状況になり、自民党が多様性、柔軟性、活力を取り戻し「一党支配」が続くのだろうか。それとも、「長老一強」が続いて自民党の衰退が続き、野党と政権を争う「政権交代ある民主主義」に向かうかに注目している。

第284回
菅義偉首相が、自民党総裁選に立候補しないと表明した。菅氏はこれまで「汚れ役」に徹することで、一代で首相にまで成り上がる「下克上ストーリー」を成し遂げたが、最期にはその限界を露呈してしまった。権力を行使し、これまでの安倍・菅「一強」体制を作り上げたが、それが逆に自民党を弱体化させてしまっている。

第283回
私は、本連載で以前から、野戦病院を新型コロナ対策の「切り札」として提案してきた。デルタ株が猛威を振るっている今になって、野戦病院が現実的なコロナ対策案として浮上している。

第282回
新型コロナウイルスの感染が再び急拡大し、「第5波」の真っただ中だ。しかし、日本政府は有効な手だてを見つけられず、いまだ「医療崩壊」に直面している。医療崩壊にならない体制を作ることができた英国を参考にして、日本は今すぐ野戦病院を設立すべきだ。

第281回
「動くピクトグラム」の残像色濃い、東京五輪の開会式。しかし、テーマである「多様性」と「調和」が感じられなかったのはなぜか。日本にとって痛手となった開会式を振り返る。そして、この人権意識の低い日本を変えるには、若い世代の力に期待するしかなさそうだ。

第280回
東京五輪の開会式で楽曲を担当していた小山田圭吾氏が、辞意を表明した。彼の過去のいじめ加害の経験は言語道断だ。しかし、組織委員会が続投に「理解」を求めていたことも認識が甘い。

第279回
東京五輪は、一部地域を除き、無観客で開催することが決まった(12日正午現在)。一方、英国のスポーツイベントは観客も入り、大盛り上がりだ。ぼうぜんとする日本政府と、正常化に戻りつつある英国政府の差はどこで生まれたのか。

第278回
現在の政局の焦点は、「ポスト菅」であろう。9月末までに予定される自民党総裁選で、菅義偉首相が再選されるかどうか。菅義偉首相を脅かす候補者は誰かということだ。そして、安倍晋三前首相の3度目の首相登板があるかどうかに焦点が当たっている。

第277回
分科会の尾身茂会長が、東京五輪の開催について「こういうパンデミックでやるのが普通ではない」と発言した。これにより世論は「正義の味方の尾身」と「悪者の政府」という図式となった。しかし、尾身会長の発言への支持とは別に、分科会のパフォーマンスに対しては厳しく評価せざるを得ない。

第276回
香港、日本の大学がともに、これまでの「学び」を継続することの困難を抱えている。そんな中、立命館大学で私が受け持つゼミと香港中文大学とで、オンライン・ワークショップを行った。これまでも何度も行ってきた学生同士の議論・交流の場であったが、今回はどうも様子が違ったのだ。中国の強権的な振る舞いによって、国民の萎縮があるのではないだろうか。

第275回
今もっとも問題なのは医療崩壊でしょう。今こそ、政府は最後の「切り札」を切るべきではないでしょうか。筆者は自衛隊による「野戦病院」の設立を提案しています。

第274回
東京五輪開催への反対論は高まる一方だが、感情的な主張が広がり過ぎている印象だ。開催の是非の議論は、感情的にならず、論理的に開催の問題点を整理して考えることが重要ではないだろうか。

第273回
大阪府で、新型コロナウイルス感染症の感染者が連日1000人を超えている。すでに「まん延防止等重点措置」が適用されているが、3度目の「緊急事態宣言」発令が現実味を帯びている。連日、吉村洋文大阪府知事がメディアに登場し、吉村知事を批判するような意見も増えてきたが、根本の原因はこれまでの菅政権の対応にある。

第272回
このところ、さまざまな不祥事が取りざたされている霞が関だが、官僚が自民党政権に「忖度」しているせいだといわれている。忖度の理由は、首相官邸が官僚組織の人事権を掌握しているからだ…という声もあるが、人事権の掌握自体は、世界的に見ても珍しいことではない。日本の問題はもっと根深い。日本だけが「忖度」する官僚になったのはなぜなのか。
