
上久保誠人
第271回
国際オリンピック委員会(IOC)総会で、トーマス・バッハ会長が、東京五輪の参加者に中国製の新型コロナウイルスワクチンを提供すると唐突に表明した。まさに、日本側にとって「寝耳に水」で、中国の「ワクチン外交」のしたたかさに圧倒され、政府は言葉をなくした。しかし、日本の動きが遅すぎた。そして、なぜ日本が世界と比較してもワクチン接種が遅れているのか。その根底には「官僚支配」と「世界のスピードについていけない」という問題があるのではないか。

第270回
政府は、新型コロナウイルス対策として東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏4都県に発令中の緊急事態宣言を、3月21日まで2週間延長することを表明した。私は、宣言の延長には反対ではない。しかし、なぜ延長しなければならなかったのかには疑問がある。中途半端な対策で混乱する日本で、今求められているのは「政策決定の専門家」だ。

第269回
森喜朗氏の後任となった橋本聖子氏が注目されているが、今回の騒動で女性の人材不足の深刻さが明らかになった。今の日本社会を変えるためには、年功序列・終身雇用といった「日本型雇用システム」にメスを入れるしかない。

第268回
森喜朗会長が辞任を表明したが、「昭和の保守派」的価値観が、いまだ日本社会の中枢を占めている人の中に根強く残り、政策決定に強い影響力があるということが本質的な問題だ。選択的夫婦別姓や皇室継承の問題といい何も進まないままでは、日本は衰退の一途をたどるばかりだろう。

第267回
ミャンマー国軍が、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相らを拘束し、国際的な非難を浴びている。米国をはじめとする経済制裁の可能性も高まるが、逆に中国の影響力が強まり、民主化が一層難しくなる可能性がある。

第266回
新型コロナ対策を強化するため、国会で「感染症法」などが改正された。刑事罰が撤回されるなど、世論が納得できるようなプロセスをとったが、中途半端だといえる。また、コロナ対策の構造もプロセスも「消費増税」の時をほうふつとさせる。

第265回
日本は、欧米に比べ新型コロナ感染者が圧倒的に少なく、病床数が世界一であるにもかかわらず、医療崩壊の危機に直面している。今の医療体制を変えていくには、今後は医学界のさまざまな分野の重鎮を集め、オールジャパンで新型コロナ重症者の病床の確保を決定することを、私は提案したい。

第264回
新型コロナの感染拡大が止まらない。欧米に比べ感染者は圧倒的に少ない日本だが、なぜ医療崩壊が起きているのか。複雑に問題が絡み合う医療体制の本質的な問題解決のために、「自民党厚労族」がもっと動くべきではないだろうか。

第263回
2020年最後の論考として、1年間の国際関係を総括したい。大きな変化があった中国、そして米国抜きにして今の国際関係は語れない。

第262回
新型コロナウイルス感染症「第3波」が拡大しているが、医療崩壊が危惧されている状況だ。多くの大学病院がこれまで感染者の受け入れをしてこなかったが、私は、重症者対策を大学病院で集約化して行うと同時に、新型コロナの先端的な研究に日本も参戦できる体制を取ることを提案したい。

第261回
香港で違法デモを扇動した罪などで周庭さんらに厳しい判決が下され、世界各国から中国共産党への批判が続いている。もはや中国をいくら批判しても反論が続くだけなので、今回は中国の平和な未来のため、「選挙」を提案をしたい。

第260回
「桜を見る会」問題が突如、国民の目の前に再浮上してきた。菅政権になってからというものの、安倍政権時代は見えにくかった「裏の工作」のようなものが国民に見えるようになってきたといっていい。一体なぜか。

第259回
新型コロナウイルスの感染が再拡大し、「第3波」を迎えている。菅政権は「Go Toトラベル」の見直しなどが出遅れ、国民の不安も高まる一方だ。しかし、安倍前首相が辞める直前に触れた「遺言」ともいえる策を実行していれば、今の混乱は避けられたのではないか。

第258回
今回の米大統領選挙では、トランプ大統領が「選挙不正」を訴えるなど混乱が続き、「自由民主主義の凋落」と諸外国からも批判されている。しかし、今の米国の姿こそ、自由民主主義国の真骨頂である。また、筆者は「分断」は起こっていないと考える。

第257回
いよいよ米国大統領選挙が行われる。世界の今後は予想しにくくなっているが、トランプ政権が激変させた国際社会の4年間を振り返り、日本が今後覚悟すべき米国との関係を考えたい。

第256回
菅政権が発足し、1カ月で続々と政策を打ち出している。しかし、政権の目的は「政策実現」ではない。国民にとって「いい政策」が聞こえてくるが、菅政権の最終的な目的は「国民統制」ではないかということが、既に見えてきている。

第255回
「日本学術会議」の新会員候補者6人を政府が任命から除外した。この政府の決定に対して、菅義偉政権の「学問の自由の侵害」を厳しく批判されている。本稿も批判に立つが、私は政権に学問の自由の侵害を許してしまった、日本学術会議と学者側にも問題があることも指摘したい。

第254回
菅義偉内閣が発足して間もないが、河野太郎行革担当相は早速「縦割り110番」を設置するなど、動き出した。改革には大きな問題が立ちはだかるが、彼が得意とする「大衆迎合的」なやり方をせず、堂々と本質的な問題に取り組めば、首相になる日は遠くない。

第253回
長きにわたる安倍政権が終わり、菅政権が発足した。しかし、今回の総裁選にはあからさまな「石破つぶし」があった上に、閣僚人事にも安倍政権の影響が色濃く影響している。

第252回
安倍晋三首相が健康問題を理由に辞意を表明した。連続在任日数が憲政史上最長を突破した直後の電撃表明だ。安倍首相には心から「お疲れさまでした」と申し上げるとともに、健康回復を願っている。しかし政治学者として、安倍首相の「史上最長在任記録」に隠れている日本政治の大問題について触れなくてはならないと考え、今回は筆を執った。
