みわよしこ
第63回
「自分は貧しい」「自分は困っている」とは言いにくい。まして多感な中学生なら、なおさらだ。しかし、小さなSOSを素直に出せるかもしれない場所がある。学校の保健室だ。

第62回
前回では、貸付を利用したエアコン保有に懲罰的に思える取扱がなされていたことを紹介した。しかし現在、生活保護費のみで暮らす世帯でも、社協の貸付でエアコンを保有できる。ただ、「貸付」であるため、それが最低限度の生活を脅かす可能性もある。

第61回
記録的な猛暑となっている2016年夏は、単に気温が高いだけではなく、過去に類例のない高温・多湿・豪雨・台風などによる問題が相次いている。生活保護制度が想定していない事態のもと、生活保護の暮らしは、今、どうなっているだろうか?

第60回
2015年度から、生活保護受給者たちに年一度の「資産申告」が求められている。預貯金を隠さず申告したところ、生活保護を打ち切られた事例もある。生活保護で預貯金を行うことと、その金額を行政が知ることの必要性と問題点を追う。

第59回
2016年7月、前勤務先の障害者施設に侵入して入所者19人を刺殺した26歳の元介護職員は、失職後、短期間であるが生活保護で暮らしていた。多数の報道からは、容疑者の「貧」と「困」が見え隠れする。

第58回
介護離職は、キャリアと収入の中断だけではなく、本人の老後まで続く深刻な影響をもたらす。年収1200万円の会社員は、介護離職によって困窮し、路上生活と生活保護を経験した後、どのように希望ある現在を手にしたのだろうか。

第57回
貧困と介護が一つの家庭に重なった場合、その負担は想像を絶するものとなる。さらに、家族介護が貧困をもたらすこともある。高収入サラリーマンも例外ではない。

第56回
2015年11月、困窮の末に生活保護を申請した高齢の夫妻と娘の一家3人が、申請から4日後に入水心中した。なぜ、一家は保護開始を待てなかったのだろうか? 生き残った娘は、どのような判決を受けたのだろうか?

第55回
第2次安倍内閣が成立して以後、「子どもの貧困」と解消の必要性へ注目が集まる一方、生活保護を含め、社会保障の削減と貧困の拡大が進みつづけた。この間の変化は、シングルマザー世帯に、何をもたらしているのだろうか?

第54回
2016年7月10日に行われる参院選の選挙戦が始まっているが、貧困問題は主要な争点とは考えられていない。貧困の拡大に対する各政党のホンネは、どこにあるのだろうか?

第53回
政府は、生活保護基準の検証とともに、生活保護法の2013年改正に次ぐ再改正を行う意向である。生活保護を経験したシングルマザーは、政府の狙いと本来必要なはずの検討を、どう考えるだろうか?

第52回
千葉県の県営住宅に住む馬場寿一さん(54歳)は、県営住宅で生活保護を利用して単身生活している精神障害者だ。馬場さんは今、生活保護費と障害基礎年金を受け取っているが、2ヵ月おきの支給である「まとめ支給」が馬場さんの生活を苦しめているという。

第51回
国連「持続可能な開発目標(SDGs)」採択から初の記念すべきサミットであった「G7伊勢志摩サミット」。そこで明らかになったのは、世界から取り残されかねない日本の貧困対策の実情だった。

第50回
大阪・釜ヶ崎地域は、東京の山谷と同様「寄せ場」として知られてきた日雇い労働者の街だ。貧困は常に「すぐそこ」にある問題だった。ドヤ(簡易宿泊所)・居酒屋・パチンコ屋・ゲームセンターが並ぶ街には、日雇い労働者の子どもたちがいた

第49回
熊本地震から1ヵ月が経過し、義援金・仮設住宅などの支援が本格化してきた。義援金を受け取り、生活再建に役立てることは、生活保護世帯にも可能なのだろうか?

第48回
生活保護世帯の80%以上は、高齢・傷病・障害・ひとり親など、何らかのハンデを抱えており、少なくとも「災害強者」ではない。生活保護世帯の被災とは、ふだんから災害弱者かつ貧困である世帯に、さらに災害による追い打ちが加わるということだ。

第47回
震災による住宅不足の問題は、阪神淡路大震災・東日本大震災の被災地域と同様に、熊本地震の被災地にも発生するだろう。そのとき、最も深刻な事態に陥るのは低所得者層をはじめとした生活弱者だ。

第45回
「生活保護なのに、パチンコだなんて許せない」というような、生活保護当事者のギャンブルに対する批判は後をたたない。この種の「ゼイタク」「不相応」、あるいはパチンコそのものは、ケースワークの目にどう映っているのだろうか?

第44回
生活保護では、保護費の範囲で生活することは要求されるが、保護費の用途は自由である。しかし2015年末からの「生活保護でパチンコ」をめぐる議論では、しばしば「保護費の用途は自由」であることが忘れられてしまっている。

第43回
生活保護政策を行う官公庁は、厚労省だ。しかし厚労省が単独で生活保護政策を決定できるわけではない。時の政権・財務省・地方自治体など数多くの関係の中で翻弄される生活保護政策を長期的に眺めると、意外な「綱引き」の実態が見えてくる。
