
後藤謙次
またぞろ永田町に解散風が吹いている。衆院解散権を持つ首相の岸田文雄が思わせぶりな行動を続けているからだ。永田町に解散風が吹くと決まって起こる現象がある。「解散なし」ではなく、「解散あり」に向かって後押しする理由がどんどん付け足されていくことだ。

4年に1度の統一地方選挙が始まる。今回の大きな特徴は、知事選挙や地方議会議員選挙などに加え、衆参の五つの補欠選挙が重なることだ。さらに衆院小選挙区の「10増10減」に伴う次期衆院選を巡る候補者選びが絡み合い、異例の様相を呈している。中でも日本維新の会の動向に注目が集まる。

経済安全保障担当相の高市早苗は3月3日の参議院予算委員会で「文書の信憑性に大いに疑問を持っている。全くの捏造文書だ」と言い切った。高市が言及した「文書」とは、小西が前日に公表した安倍晋三内閣当時に総務省が作成したとされる放送法の解釈変更を巡る経過を記録した文書のことだ。「小西文書」は安倍政権下で行われた電波メディア対策を時系列的に克明に伝える。

第90回自民党大会は、運動方針が示した筋書きとは明らかに食い違った。自民党は連合会長の芳野友子の党大会出席を前提にする運動方針案を発表したが、会場となった「グランドプリンスホテル新高輪」に芳野の姿はなかった。岸田は連合との連携強化を模索する意向を示したが、一度失われたベクトルを取り戻すのは容易ではない。

2月16日夕、公明党の広報からマスコミ各社の公明党担当記者に直接電話連絡があった。公明党の元代表代行、浜四津敏子の訃報だ。「浜四津さんの死去が判明しました。死亡日時は2020年11月29日です」という。当時、浜四津は75歳。2年以上も前に死去したことが、なぜ今ごろになって表に出てきたのか。公明党幹部によると、浜四津の死去を最初にキャッチしたのは共同通信の政治部記者だった。

首相の岸田文雄は日本銀行の新しい総裁に経済学者の植田和男(71)を指名した。焦点は体操競技でいえば、全世界が注目する中で「ピタリと着地できるかどうか」にあった。国際金融に詳しいアナリストは「ベストな人事。金融分野の保守本流」と絶賛するが、一方で冷ややかな見方も存在する。

「(同性愛カップルは)見るのも嫌だ」「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」と発言した荒井秘書官。発言内容があまりに重大で看過できないとメディア側が判断してニュースになった。岸田は翌4日朝、荒井更迭の方針を発表したが、同性婚を巡る日本の対応に海外メディアは否定的だ。

改正公職選挙法で決まった衆院小選挙区の「10増10減」に基づき、新しい区割りでは全部で289小選挙区のほぼ半分に当たる140小選挙区が、新しい線引きによって境界線の変更が行われる。多くの現職議員を抱える自民党の候補者調整は容易ではない。加えて自民党には連立与党の公明党との調整という難題が横たわる。

長丁場の通常国会が始まったが昨年までとは明らかに空気が違う。最大の要因は元首相の安倍晋三が凶弾に斃れたことにある。政界全体が軸を失って方向性が定まらないのだ。安倍の死によってさまざまな“化学変化”が生じ、自民党内はもとより与野党の関係もガラリと変わった。

欧米5カ国歴訪の最後となった米ワシントンで、バイデン大統領の歓待を受けた首相の岸田文雄。しかし、帰国した岸田には高いハードルが待ち構える。日本の安全保障政策の大転換について国内的な説明はこれから始まるからだ。

#84
岸田文雄政権の支持率は低迷を続け、混迷の度を深める2023年の政局。最大のポイントは岸田首相が衆院解散権を行使するか否か。解散時期、波乱要因、さらに野党の動向なども踏まえて、「ダイヤモンド・オンライン」の人気連載「永田町ライヴ!」の特別編として、政治コラムニストの後藤謙次が読み解く。

2023年の日本の政治は首相、岸田文雄が主導権を握って始まった。1月9日未明、政府専用機で米欧4カ国の歴訪に向かった岸田の表情にそのことがはっきりと見て取れた。わずか1カ月前の岸田の置かれた状況を思えば信じ難い光景だ。過去の例からすれば、「政権崩壊前夜」(自民党幹部)の様相だったが、岸田は一夜にして状況を一変させた。

首相、岸田文雄が防衛費増額に伴う財源を確保するための増税を打ち出したことで、安倍派の反発が強まっている。防衛費増額を巡る岸田の判断は、岸田が置かれた政治状況をそっくり投影している。岸田の中央突破路線にどこまで成算があるのか。

来年4月に予定される統一地方選挙を前に、全国的に有権者の意識に変化が起きている可能性がある。それを強く感じさせたのが12月4日に投開票された東京・品川区長の再選挙だ。混迷が続く政治状況の中で地方選挙の動向は侮れない。

わずか1カ月で3人の閣僚が辞任した岸田文雄内閣。しかし辞任騒動はこれで打ち止めとはならない。なお4人目が瀬戸際に立つ。復興相の秋葉賢也だ。秋葉の場合、地元の政治団体が秋葉の妻と母親に事務所の賃料を支払っていたことなどの「政治とカネ」の問題に加え、公職選挙法違反と思われる行動などイエローカードが乱発される。

わずか1カ月間に起きた3閣僚連続更迭劇。異常事態というほかはない。臨時国会の会期は12月10日までで、重量級の課題が山積。さらに国会閉会後には2023年度の予算編成作業が待ち受ける。どうひいき目に見ても先行きの展望は見えてこない。

前経済再生相の山際大志郎に続き、法相の葉梨康弘の更迭に踏み切った岸田首相。わずか半月余での2人の閣僚交代が政権運営に及ぼす影響は極めて大きく、直近の世論調査では、支持率の低下とともに不支持率の上昇が止まらない。

「待ちの岸田」が動きだした。公明党代表の山口那津男、自民党副総裁の麻生太郎、そして二階俊博との会食だ。ようやく二階の協力を取り付けたが、現実は臨時国会召集から1カ月が経過しても成立した法案はゼロ。「お寒い自民党国対」は変わらない。

「遅過ぎたが既定路線」と言っていいだろう。前経済再生担当相の山際大志郎の更迭劇のことだ。首相の岸田文雄は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を巡って進退が問われ続けていた山際に、やっと10月24日夕に辞表を提出させた。

9月27日の元首相、安倍晋三の国葬に続き、10月15日には安倍の地元、山口県下関市で県民葬が行われ、安倍の弔いは一区切りついた。その一方で決着を見ないのが、安倍が率いた自民党最大派閥の安倍派(清和政策研究会)の後継者選びだ。安倍の急死後、「国葬までは現体制維持」を申し合わせていたが、10月13日の派閥の総会でも結論が出ず、決定は先送りされた。
