ファクターXの信頼度を3段階で評価
「BCG接種」説は?

 コロナによってあらゆることが制限されるこの不自由な生活から解放されるためには、治療薬やワクチンの開発を待たねばならないが、それには最低数年はかかるというのが大方の予想だ。

 一般人からすると、こんなに医学が進んだ現代で何をモタモタしているんだと思うかもしれないが、何しろ相手は、世の中に出現して数カ月しかたっていない“新型”のウイルスだ。

 発症した場合の治療法はもちろん、空気感染なのか飛沫感染なのかといった感染経路、ウイルス自体の構造や生態に至るまで、分からないことだらけなのである。

 まるで光明の見えないコロナとの戦いだが、もしファクターXを突き止めることができれば、世界を危機から救うことができるかもしれない。

 ダイヤモンド編集部では、医学論文を一般向けに分かりやすく解説する記事を自身のブログに掲載している五本木クリニックの桑満おさむ院長の協力を得て、各種データや複数の医者への取材を基に、ちまたでファクターX候補とされている代表的な説について、検証した。

 主な「ファクターX」の評価の結果が、下表だ。◎が「期待大」、◯が「脈あり」、△が「現状では微妙」という3段階で評価している。

 最初に断っておくが、評価が高いものでも、あくまでも現状で推測できるのは「相関関係」のみ。つまりは「傾向が見られる」程度のことであり、実際にどのようなメカニズムでコロナ感染や重症化を予防するかという、「因果関係」についてのデータが出されているものは、今のところないということを強調しておく。

 初期から有力候補として浮上していた「BCG接種説」は一応◯。実は桑満院長をはじめ、現場の医者たちの間では「微妙」という意見もあったが、BCG接種国であるポルトガルの死亡率が隣接するスペインよりもかなり低いこと、同じく接種国であり、欧米と同様に白人が多いロシアでも死亡率はそれほど高くないことなど、確かにその傾向は見られる節がある。また、オーストラリアなどで臨床試験が始まっていることもあり、“一応”◯とした。