グレーなビザ申請は心苦しい
でも、そうせざるを得ない

Aさん 「VIPの接遇とか、メニューの翻訳・通訳とかいろんなものをやるから」という立て付けで、出入国在留管理庁(入管)に申請します。そうすることで「技術・人文知識・国際業務」のビザが取れるようになるんです。正直なところ、入管の査察が入ったら、「レストランの給仕しかしてないじゃないか」って言われかねないんですけどね。

Bさん 人事としてはグレーなところでビザ申請をやっているので、正直なところ、結構心苦しいんですよね。でも人材が枯渇しているので、そうせざるを得ない。

Aさん 厄介なのは、同じ条件でビザ申請しても入管ごとにかなり結果に差があるし、同じ入管でも担当者によって差があります。その辺りの運用をクリアにしてほしいと切実に思います。もっと海外から人を入れてもらわないと、ホテルで働く日本人が激務で死んじゃいます!

「フロントの夜勤はなくしたい」
警備会社のリモート対応に

――人手を確保する取り組みの一方で、省人化、無人化を進めることも必要なのでは?

Aさん そろそろフロントの夜勤はなくしたいですよね。ホテル業界ではフロントの夜勤でつぶれちゃう人ってすごく多い。特に女性が長続きしないネックがこれ。結婚したらフロントの夜勤がNGになっちゃう。機械化とリモートで対応できるはずです。テレビ電話などを使って警備会社が夜間はフロント対応してくれるようにしてほしい。全部自前でやるのはもう無理な時代なのです。

Bさん でもホテルに高い質を求めるお客さまは、警備員が対応するのに納得しないでしょうね。うちは駐車場での対応業務をアウトソーシングしているんですけど、お客さまが満足するレベルでできておらず、クレームを受けることが多いですから。

Aさん 上層部には、コストを抑えることに執着し、従業員を馬車馬のように働かせるのをもうやめてほしいと言いたい。高級ホテルでも専門学校卒1年目で月収17.5万円のところがあります。これで都心の1人暮らしだと、家賃と生活費に充てればもう収支がかつかつ。「自分は何のために働いてるんだ?」という気持ちになってしまいます。

――それでもホテル業界を辞めないのはなぜ?

Bさん 極論を言えば、ホテルは人で成り立っている。個性が違う人が集うことに面白さを感じるんです。

Cさん 直接お客さまの笑顔を見られ、感謝の言葉が聞けますから。仕事で関わる人も多いので楽しい。

Aさん そう。こんなに毎日違うことが起こる仕事はなかなかありません。すぐにフィードバックがあって、現場はお客さまから「ありがとう」「良かったよ」の一言を頂ける。だから、明日も頑張ろうとなる。人事として現場の従業員をサポートする私も同じ気持ちでして、「辞められないなあ」とつくづく思うんです。

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