画像:特集『京都企業の血脈』#1キービジュアル

海外売上高比率では、村田製作所91%、日本電産88%、任天堂79%、京セラ67%――。国内製造業の停滞が鮮明になる中、京都のものづくり企業が世界市場を席巻している。京都に本拠を置く上場企業を対象に「売上高ランキング」を作成したところ、上位には名だたるエクセレントカンパニーがランクインした。特集『京都企業の血脈』の#1では、ランキング結果を発表する。“京都御三家”とされる村田、日本電産、京セラは何位にランクインしたのか。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

日本電産や京セラが“脱・創業者”に苦慮するも
京都が「日本のシリコンバレー」となった理由

 時を同じくして、京都を代表する二つの企業で「創業者の代替わり」を象徴するような出来事が相次いだ。

 8月30日、京セラ創業者である稲盛和夫・名誉会長(享年90歳)の死去が明らかになった。2005年には取締役を退任し経営の一線から退いていたものの、最近まで京セラ経営陣は稲盛氏への経営報告を欠かさなかったという。

 続く9月2日、日本電産の永守重信会長(78歳)が自身の後継候補だった関潤社長(61歳。肩書きは当時)を実質的に解任に追い込んだ。永守氏は全幅の信頼を寄せる創業メンバー、小部博志氏(73歳)を新社長に据えたものの、これはあくまでもリリーフ人事にすぎない。後継者不在の問題は振り出しに戻ったことになる。

 京セラの稲盛氏と日本電産の永守氏。京都の土壌が生んだカリスマ創業者の代替わりは難しい。サクセッションプランの遂行に赤信号がともった日本電産のみならず、稲盛氏による引き際が潔かった京セラですら、後継の歴代経営者は「脱・創業者シフト」を進めることに苦慮したようだ(詳細は本特集の#6『京セラ会長が悩んだ偉大すぎる創業者の影響力、「“脱・稲盛”を果たせたのはわずか5年前」』参照〈9月28日配信予定〉)。

 しかし世代交代に難渋する反面、強烈な個性を持つ創業者だからこそ、京都企業を世界のエクセレントカンパニーへと成長させることができたともいえる。

 京都エリアが「日本のシリコンバレー」と評されるようになって久しい。日本電産や京セラ、村田製作所など、ものづくり技術を強みに、世界市場のニッチ分野で高いシェアを持つ“グローバルニッチ企業”が集積しているからだ。また、京都企業幹部は「経営者同士の人的ネットワークが強い点もシリコンバレーと似ている」という。

 京都企業を表す特徴として、「日本市場にこだわらず世界市場を展望する」「人まねをしない」「短期視点よりも長期視点を優先する」「監督官庁の規制を過度に受けにくい」――といったことが挙げられる。こうしたとがった価値観を経営に持ち込めるのは、強いオーナーが存在しているからにほかならない。

 それでは、世界市場を動かす京都企業にはどのようなメンバーが埋もれているのか。

 次ページでは、本社や登記上の住所が京都府にある上場企業を対象にした「売上高ランキング【67社】」を大公開する。京都御三家とされる日本電産、京セラ、村田製作所は何位にランクインしたのだろうか。