日本自動車連合はトヨタグループの力がいっそう強まっており、トヨタの総帥である豊田章男氏への期待感は大きい。
かつて父君である豊田章一郎氏は、社長を弟の達郎氏に譲ったが達郎氏が病で倒れて急遽、奥田碩氏を社長に抜擢した。歯に衣着せぬ奥田カラーを基にトヨタのハイブリッド戦略に着手した奥田氏を見いだしたのは章一郎氏の慧眼であり、自らはトヨタ会長としてトヨタ初の経団連会長も務め上げた。
豊田章一郎氏は2月14日、前日に開催された佐藤次期社長会見を見届けるかのように死去された(4月24日に東京・名古屋・豊田市の3会場でお別れの会が開かれる)。
今年の5月で67歳となる豊田章男氏が4月から佐藤恒治新社長に譲り、トヨタの会長として佐藤新体制を支えていき、自工会会長として来年5月までの任期でどのような動きを示していくかが大いに注目されよう。
折しも3月25日、EUの欧州委員会が2035年以降も合成燃料(e-Fuel)を使用したエンジン車の新車販売を容認すると、方針転換を発表した。豊田章男自工会会長は「カーボンニュートラルへの道は一つではない」として、以前からこのe-Fuel活用に言及していたこともある。「日本連合」をけん引する豊田章男氏のリーダーシップは、自工会にとどまらず経済界全体(経団連)への飛躍が期待されよう。
(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)