自社の社員が他部署で副業を始めたら、管理はどうなる?

「甲社は正社員の副業を認めているんですよね?」

「昨日説明した通りで、直属上司と私が許可すればOKです」

「だったら、Aさんの場合はB課長が許可していますから、あとはC部長が認めれば副業は可能です。迷っているところを見ると、許可をためらう理由があるようですね」

「副業を認めるときに、本業はあくまでもウチの社員で、副業として他の会社でアルバイト、もしくはフリーランス活動することを想定していました。しかし今回はウチの社員が当社のアルバイトをするわけですから想定外です。なんか管理が面倒そうで採用を躊躇(ちゅうちょ)しているんです」

「なるほど。ではお尋ねしますが、本業が他社の従業員で、副業で甲社のアルバイトをしている人はいますか?」

「パートやアルバイトは物流センターにしかいませんが、学生だったり、ここで週5日・1日8時間以上ガッツリ働く人か、本業が自営業の人ばかりですね」

「本業が他社、もしくはAさんのような自社の従業員が、甲社のアルバイトをする場合、労働者の健康に配慮した長時間労働の抑制や、残業代の計算などの目的で、労働時間の管理が必要になります」

○本業が他社、もしくは甲社の従業員である者を、副業先(甲社)がパート、アルバイト等で雇用した場合、労働時間の計算は本業での労働時間と副業先での労働時間を合算する。
○法定労働時間は、1日あたり8時間、1週間につき40時間であり、法定労働時間を超えて労働させてはいけない(労働基準法32条)
(月の法定労働時間は、歴日数が28日で160時間・30日で171.4時間・31日で177.1時間)
○ただし副業先(甲社)が36協定を締結している場合、合算された労働時間が法定労働時間を超えても、36協定で決められた時間まで法定時間外労働をさせることができる。ただし法定労働時間を超えた労働時間に対しては、割増賃金を支払う必要がある。(労働基準法36条.37条)

「すると、Aさんが物流センターでアルバイトをした場合、労働時間の計算はどうなりますか?」