
佐藤智恵
トランジスタラジオやウォークマンなど、ソニーの画期的なイノベーションは長年、ハーバード大学経営大学院(以下、ハーバード)の授業でも取り上げられてきた。だが、近年は製品開発だけでなく、そのリーダーシップのあり方にも注目が集まっているという。ハーバードでソニーの経営が注目される理由を解説する。

世界に数多くのスーパーエリートを輩出してきたハーバードでは、トヨタ自動車やソニーなど数多くの日本企業が教材として取り上げられてきたが、その多くが製造業だった。そんな中でサービス業として珍しく注目されているのが、「リクルート」だ。なぜハーバードはリクルートの経営に注目しているのか。

三菱重工業は10月30日、子会社の三菱航空機で開発を進めていた三菱スペースジェット事業をいったん立ち止まると発表した。世界に数多くのスーパーエリートを輩出してきたハーバードでは、同じく日本企業として航空機事業に挑戦した「ホンダジェット」を教材として取り上げていた。ハーバードが注目してきたホンダジェットや三菱グループの事例をもとに、スペースジェットが抱える今後の課題と展望について解説する。

世界に数多くのスーパーエリートを輩出してきたハーバード大学経営大学院(以下、ハーバード)では、さまざまな企業の事例が教材として取り上げられている。その事例は、過去の成功例であることがほとんどだ。「亀田製菓」もハーバードの教材として取り上げられている企業の一つだが、その事例は他と比べて“異色”といえる。なぜなら、亀田製菓の挑戦はまだ道半ばの状況にあるからだ――。

トヨタやソニーなど、日本企業が起こした戦後のイノベーションは世界から注目されてきた。しかし一方で、90年代以降は日本企業から画期的なイノベーションが生まれるケースは少なくなっている印象がある。そうした中で、ハーバードから高く評価されたのが、「ホンダジェット」の事例である。

戦後最大ともいわれる経済危機を迎えている日本企業にいま問われているのは「生存力」と「復元力」だ。こうした中、多くの企業では日本企業の強みを学び直す機運が高まっているのだという。世界に数多くのスーパーエリートを輩出してきたハーバードも長年、日本企業独自の強みに注目してきた。コマツもその一つだ。

20代、30代の若者よりも、戦後の経済成長を支えた70代、80代のほうが「コスモポリタン」である国、日本。その行く末を案じるジョーンズ教授に日本の課題と希望を語っていただいた。

世界中で格差問題が深刻化する中、アメリカの大富豪たちは次々に慈善事業に寄付をしている。ウォーレン・バフェット氏の累計寄付額は約3兆円、ビル&メリンダ・ゲイツ夫妻の累計寄付額も約3.5兆円に及ぶ。日本企業の経営者は富を独占するよりも社員にわけあたえようとする傾向が強いというが、アメリカの経営者はなぜ外部の慈善事業に寄付をするのか。その動機を宗教と思想の観点からジョーンズ教授が読み解く。

「経済学のマザーテレサ」「経済学の良心」として名高く、アジア人として初めてノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・セン教授。その研究の範囲がノーベル経済学賞に収まりきらないことから、同賞受賞者の中でも異色の経済学者と言われている。そのセン教授は「戦後の日本の経済成長はアジアのモデルとなった」と日本の成長モデルを高く評価し、ハーバード大学の授業でも度々日本について教えているという。セン教授に日本の成長モデルの強みと今後の日本経済について語っていただいた。

1989年から30年近く「築地市場」の研究を続けているテオドル・ベスター教授。築地では知らない人がいないほどの有名人だ。経済学、社会人類学、都市社会学など多彩な視点から築地市場を見つめた著書「築地」は、築地のみならず、日本という国を理解する上で格好の書となっている。ベスター教授は、豊洲移転問題で揺れる築地市場をどう見ているのだろうか。

ハーバード大学の知日派教授と聞いて誰もが真っ先に思い浮かぶのは、エズラ・ヴォーゲル教授だろう。1979年に出版された『ジャパン アズ ナンバーワン: アメリカへの教訓』は日本国内で70万部を超えるなど、世界的な大ヒットを記録した。日本、中国、アメリカという三つの国を社会学の観点から徹底的に研究しつづけてきたヴォーゲル教授に、日本が世界に与えた影響とトランプ政権の今後についてうかがった。

自然を主役にして人間の歴史をひもといてみると、どんな側面が見えてくるのだろうか。環境史の授業の中で日本史のテーマを取り上げているのが、イアン・ジャレッド・ミラー教授だ。東京の電化史、築地市場、軍艦島などから、ハーバードの学生は何を学んでいるのだろうか。

第5回
2018年、日本は明治維新から150年を迎える。その明治維新について初めてハーバード大で本格的に研究したのがアルバート・クレイグ名誉教授だ。そもそも明治維新はなぜ長州と薩摩からはじまったのか。明治維新がこの国にもたらした影響とは何か。日本人として身につけておきたい「教養としての明治維新」を中心に語っていただいた。

第4回
ハーバード大学在学中の4年間で、日本に関連する数多くの授業を履修したパトリック・サングイネティさん。文学、宗教学、文化人類学など、その履修授業は多岐にわたる。彼は日本から何を学んだのか。卒業前に語り尽くしていただいた。

第3回
ハーバード大学は世界最難関の大学の1つだが、中でも合格するのが特に難しいのが、ハーバード・カレッジだ。その合格率は約5%。20人に1人しか受からない。海外からの留学生の国別データ(カレッジ全体、2014年調査)を見ると、韓国の躍進が目立つ。最も多いのが、カナダ人(138人)。次に多いのが韓国人(57人)だ。ちなみに日本人は11人しかいない。韓国からの留学生の中には、日本に興味を持ち、日本史の授業を履修する学生もいる。現在3年生のシンディ・ジョンさんは、日本史から何を学んだのだろうか。

日本は「海外の文化をうまく取り入れて発展してきた国」という印象が強いが、ハーバード大学で日本史の授業を教えているデビッド・ハウエル教授は、それとは逆に日本が世界に影響を与えてきた歴史もあるという。明治時代以前、日本はどの分野で良い影響を世界に与えてきたのだろうか。そして、今後、日本が世界に貢献するための課題とは?ハウエル教授に聞いた。

ハーバード大学で学部生向けに日本史の通史の授業「アジアの中の日本、世界の中の日本」を教えているのが、デビッド・ハウエル教授だ。ハウエル教授が得意としているのが、「教科書には書かれていない日本史」。授業では戦国武将の肖像画や古文書などが次々に登場し、画像を見ているだけでも楽しい。そのハウエル教授がハーバードで教えている武将の一人が「直虎」。大河ドラマで話題の井伊直虎ではないというが果たしてどんな人物なのか?

トランプ大統領の誕生した今年ほど、「国家の品格」「リーダーの品格」が問われた年はないだろう。アンドルー・ゴードン教授は、日本とアメリカの両国で「実体のない品格」(empty dignity)を持った国民が増えつつあることに警鐘を鳴らす。真に品格ある国家とはどのような国家だろうか。ゴードン教授に聞いた。

「日本の200年――徳川時代から現代まで」の著者として世界的に有名なアンドルー・ゴードン教授。本書は、世界各国の大学で「日本の近現代史の教科書」として活用されている。ハーバード大学の日本史の授業では、「世界との関わりの中で日本史を見る」ことを徹底的に教える。ゴードン教授が授業で「新渡戸稲造」「岡倉天心」「ラビンドラナート・タゴール」を取り上げているのはなぜなのだろうか。

2017年4月18日、ハーバードビジネススクールで「トルーマンと原爆」を題材とした授業が行われた。この授業では、毎年約60名の学生が80分間、「原爆投下はリーダーとして正しい決断だったか否か」について白熱した議論を戦わせる。授業に参加した学生は何を学んだのか。アメリカ人学生のショーナ・シニアさんに聞いた。
