カーゴニュース
国土交通省は10月20日、「自動運転車を用いた自動車運送事業における輸送の安全確保等に関する検討会」の第2回会合を開催した。自動運転トラックの安全を確保するための方策として、車両の日常点検、点呼時の報告、貨物の積載方法の確認、運行記録の作成といった運転操作以外の業務を担当し、安全確保を担う新たな職種として「自動運行従事者(仮称)」を法令で位置づけるべきとの考えが示された。冬頃に開催予定の次回会議で具体的な制度化に向け検討作業を進めていく。

ダイキン工業(本社・大阪市北区、十河政則社長)は、抜本的物流効率化計画に着手した。業界平均を大きく下回る物流コストレベルを目標に、(1)地産地消による輸送総量の削減(2)リスク対応のための在庫増やインフレを吸収(3)輸送、保管、荷役、包装など各物流要素の無駄の半減――を推進。カーボンニュートラルに向け、物流領域での環境取り組みも加速させる。

ヤマト運輸(本社・東京都中央区)の長尾裕社長は10月12日の「Amazon ECサミット2022」のセッションで、クール宅急便においてEC利用を前提とした新たな仕組みを構築中にあることを明らかにした。長尾氏は「(EC市場における)食品領域は今後、非常に有望」との考えを示した上で「この領域でいかにオンライン消費に適したプロセスを作るかがこれから非常に重要となる」と強調した。

国土交通省は10月中旬以降をメドに軽乗用車による貨物運送を“解禁”する。これまで軽自動車で貨物運送事業を行うには軽トラックを使用することが原則だったが、今後は軽乗用車で貨物運送事業を開始できるよう“規制緩和”する。労働力不足を背景にラストワンマイル配送の担い手確保が期待される一方、配送を請け負う個人事業主が急増し、運賃の下げ圧力となることを懸念する声もある。

トラック運送など道路貨物運送事業者の倒産が増加傾向にある。帝国データバンクによると、8月の倒産件数が前年同月比で倍増。燃料の高騰やドライバー不足が重なり、政府の新型コロナ関連融資の縮小により債務返済に行き詰まるケースもみられる。政府はこのほど、実質無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」について9月末の申し込み分までで終了することを決定したが、倒産件数がさらに増える可能性もある。

国土交通省はタクシー事業者による食料や飲料の宅配(デリバリー)を認める制度を10月以降も継続する。新型コロナウイルス感染症拡大により旅客需要が減少したタクシー事業者の経営支援策として特例により2年前から始まった制度だが、一定の需要継続の意向を受け、継続が決定した。事業許可の期限はあるものの要件を満たせば延長は可能だ。

海上コンテナ輸送が「2024年問題」を前に存続の危機に立たされている。東京港の一部のコンテナターミナル(CT)では常時3~5時間の待機が発生。2024年4月から適用される、年間960時間を上限とする罰則付きの時間外労働規制や新たな改善基準告示への対応が困難になり、撤退が加速する可能性も指摘される。ドライバー不足や高齢化も進み、輸出入のラストワンマイルの輸送力の縮小が危惧される。

食品のサプライチェーンで製(メーカー)・配(卸)・販(小売)の3層の連携強化への動きが本格化してきた。物流の「2024年問題」への対応を見据え、新たに「フードサプライチェーン・サステナビリティプロジェクト(FSP)」が始動。納品リードタイム延長などメーカー・卸間での取り組みに小売も加わることで、サプライチェーン全体での対応に発展させ、持続可能な物流の構築を目指す。

大都市圏を中心に冷蔵倉庫がひっ迫している。北米からのコンテナ輸送が正常に戻りつつあることに加え、ロックダウン解除後の中国からの輸入が増加。円安やウクライナ情勢など不透明感が強まる中で、畜肉中心とした輸入者の「買い置き」や在庫の積み増しもみられる。一方で、物価高やコロナ禍の継続で需要は伸びず、出庫は鈍化。あらゆる要素が重なって冷蔵倉庫の在庫水準を押し上げている。まもなく主力商材のチリ産銀ざけ(チリ銀)の搬入が本格化し、年末に向けてひっ迫感はますます強まる見通しだ。

北海道と本州を結ぶ貨物列車は、道民の生活と経済を支えるとともに、食糧基地である北海道から全国への安定供給を担い、特に道外への農産品輸送においては鉄道利用が4割を占めるに至っている。この重要な物流機能が、2030年度に計画される北海道新幹線の札幌延伸を受け、存続の危機にさらされている。「青函ルート問題」と総称される同問題は、これまでも鉄道輸送関係者らの間で取り沙汰されてきたが、2030年度が迫るなか、現実的なリスクとしての認識が北海道経済界や物流業界全体へ広がりつつある。青函ルート問題とは何か、解決策はあるのか――。

北海道と本州を結ぶ貨物列車は、道民の生活と経済を支えるとともに、食糧基地である北海道から全国への安定供給を担い、特に道外への農産品輸送においては鉄道利用が4割を占めるに至っている。この重要な物流機能が、2030年度に計画される北海道新幹線の札幌延伸を受け、存続の危機にさらされている。「青函ルート問題」と総称される同問題は、これまでも鉄道輸送関係者らの間で取り沙汰されてきたが、2030年度が迫るなか、現実的なリスクとしての認識が北海道経済界や物流業界全体へ広がりつつある。青函ルート問題とは何か、解決策はあるのか――。

トラック運送業界は、軽油価格の高騰と価格転嫁の遅れによる経営環境の悪化、ドライバー不足と高齢化、環境対応などの課題が山積している。改正貨物自動車運送事業法の施行から3年半超が経過し、物流の「2024年問題」を産業界が注視する中、指標となる数字を読み解くことで、業界の立ち位置と課題の本質がみえてくる。

宅配便大手3社(ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便)の取扱個数の伸びが鈍化している。コロナ初年度にあたる2020年度は巣篭もり消費の急激な拡大により3社合計で年間5億個も増加したが、翌21年度の増加は1億個にとどまった。22年度に入り、伸び率がさらに鈍化している。背景には大手EC事業者の自社物流化が進み、宅配大手以外に委託する〝隠れ宅配〟がさらに進んだことに加え、物価上昇を受け消費自体が弱含みで推移しているとの見方も出ている。

楽天グループは日本郵便との協業により、当日配送サービスを開始することを明らかにした。7月21日に三木谷氏が公表した。オペレーションの効率化とサービス改善を推進する方針を示した上で、「Amazonと違うのは、ちゃんとした配送業者が届けているということ。商品も丁寧に扱い、丁寧に届けている」ことをPRした。

コロナ禍でのEC関連需要の高まりを背景に、活況が続いていた物流不動産市場に“暗雲”が広がっている。近年の大量供給により需給バランスが緩和し、空室率は上昇傾向。東証REIT指数も物流セクターは下落が見られる。エネルギーコストの上昇を受けた鋼材価格の値上がりも開発コストの重しとなる。物価高や景気の減速も物流不動産需要には向かい風となる。

サプライチェーンの混乱やウクライナ情勢など地政学リスクの高まり、金融引き締めの動きも加わり、国際貿易を取り巻く環境は不透明さが増している。国際秩序の変化とブロック化が進む中、EPA(経済連携協定)・FTA(自由貿易協定)は政治・経済の連携強化の枠組みとして期待されている。物流費が上昇し、企業はこれらの協定を活用した関税コスト削減に関心を強めており、官民のサポートも拡大している。

「2022年度の経済と貨物輸送の見通し(改訂)」をNX総合研究所が発表した。国内貨物輸送量については、消費関連貨物では4.9%のプラスが予想されるものの、生産関連は0.5%減、建設関連は3.2%減と落ち込み、全体では0.6%減と再びマイナスとなると見込んだ。

オンライン全盛の時代に、日本のボールペンの輸出が絶好調だ。2021年の全国のボールペンの輸出数量は11億300万本(前年比26.8%増)、金額は557億円(33.2%増)となり、金額ベースでは過去第2位となった。横浜港は4億2500万本(16.0%増)、200億円(18.3%増)で、数量・金額とも15年から7年連続で全国第1位の港となっている。

トラック運賃の上昇機運が長期契約、スポット契約ともに失速している。昨年秋から年末にかけては上昇傾向にあったが、軽油高騰の価格転嫁が進んでいない。エネルギーや原材料コストの上昇で、“脱デフレ”の兆しが見え始めている中で、トラック運送業界は依然としてデフレを引きずったままだ。景気の腰折れも懸念される中、トラック運送業界を取り巻く環境はいよいよ厳しさを増している。

ドライバーの長時間労働の原因をつくった荷主に対し、労働基準監督署が直接働きかけを行う新制度案を提示した。従来は荷主に対する改善要請ができなかったが、制度を見直す。ドライバーの時間外労働上限規制が強化される「2024年問題」が迫る中、行政による荷主対策がいよいよ本格化してきた。
