吉村克己
メーカーの環境経営総合研究所は、紙と合成樹脂を混ぜた「マプカ」など、プラスチックを代替する素材を開発してきた。海外からの評価も高いが、創業者は損害保険会社出身で、起業直後に出資先に夜逃げされた苦い経験を持つ。そこからどのように挽回し、製品を世界に広げたのか。

トンネル工事では大量の粉じんが生じ、かつて作業者が「トンネルじん肺」に悩まされ、社会問題にもなっていた。この粉じん問題を解決したのが東京に本社を置く流機エンジニアリングのトンネル工事用大型集じん機である。

日本発祥のカニカマは、いまや世界中に普及している。それを支えているのが、食品機械メーカーのヤナギヤだ。世界シェア70%を誇る同社の3代目社長に、これまでの足跡と急成長の戦略を聞いた。

消費者の目には留まりにくいが、工業製品のトレーサビリティー(移動を追跡確認できる状態)を担保し、品質管理に不可欠なのが「刻印」である。一見、地味なこの分野で世界的な刻印機メーカーが東京都墨田区に、本社を置く東京彫刻工業だ。

アメリカのデュポンやモンサント(現バイエル)と言えば世界的な化学メーカー。その大手から事業を友好的M&Aで取得し、世界有数の技術開発力を獲得してきたのが滋賀県に本社を置くアイ.エス.テイです。

「環境問題は学際であり、業際であり、国際なのです。グローバルな課題であって、そこに国境はない。チャンスがあれば海外に行きたいと創業当初から考えていました。」エンバイオ・ホールディングス社長の西村実(62歳)は力強く語る。

創業166年を誇る丸山海苔店は全国3000の寿司店など飲食店に最高級の海苔を納める老舗だ。また、高級日本茶も取り扱っており、「寿月堂」の名で築地本店の他、パリにも店を構える。フランスでは富裕層にも人気だという。

日本からどんどん瓦屋根が失われていく中で、飛鳥時代から1400年以上続く瓦文化を世界に広げようとする男がいる。山梨県に本社を置く一ノ瀬瓦工業5代目社長の一ノ瀬靖博(45歳)である。

「海外で“モノ”を売ればいいのではなく、お客様がこうなりたいという“コト”を提供したい。これをカスタマーサクセスと呼んでいます。その文化を海外に根付かせることが私たちの目的です」。そう語るのは、ビーボの創業社長である武川克己(たけがわ・かつき、37歳)だ。

「ウエストのサイズをちょっと直したい」「虫食いやほつれがあって着られない」など、ちょっとした衣服の補修、手直しをしてくれる「お直しコンシェルジュ」というサービスがある。これを展開するのは、仙台に本社を置くビック・ママだ。

中東で「Gourmet Story」というブランド名の調味料が売れている。製造するのは、愛知県に本社を置くグルメストーリー。サラダ用ドレッシング、ステーキソースなどを年間10万本を輸出している。38歳の鈴木信輝社長は、大手証券会社を20代で辞め、紆余曲折を経て、チャレンジをしている。

液体中の糖・塩・酸・タンパク質などの濃度を測定する屈折計の製造販売で、アタゴは小さな世界企業である。創業以来80年にわたって屈折計開発に取り組み、現在、世界156カ国に輸出している。小型屈折計では国内シェアは90%、海外シェアは30%を占める。海外売上高比率は60%に達する。

フランス・ブルターニュ地方の港町で、本格的な「枕崎鰹節」が生産されている。生産するのは、鹿児島県枕崎市の枕崎フランス鰹節で、紆余曲折を経て、3億円をかけてフランスに工場を建設、17年から本格的に販売を開始したという。一体なぜフランスなのか。そして、世界で流行する和食の普及に、立ちはだかる壁とは?

横浜市に本社を置く排水処理の専門企業である日之出産業は、いまアフリカの若者が集まる拠点になりつつある。まだ、実績づくりはこれからだが、社員13人の日之出産業は、確実にアフリカにビジネスの土台を築こうとしている。

熱分解装置で、国内シェア90%、海外シェア50%を握るのが福島県郡山市に本社を置くフロンティア・ラボ。同社製品はNASAやグローバルメーカーに導入されている。創業者であり社長の渡辺忠一は創業当初から世界一を狙い、43歳で満を持して起業。同社に営業マンはいない。その代わり、研究論文が多数あるという。

アパレル業界ではいまや海外生産は当たり前だが、岐阜市に本社を置く小島衣料はその中でも先駆者として業界ではよく知られた存在だ。1991年に中国に生産工場を立ち上げたのをきっかけに、現在、バングラデシュに2工場、ミャンマー1工場、フィリピン1工場と4カ国5工場で合計約4000人のスタッフを雇用している。ここまで成長できた理由とは?

神奈川県綾瀬市に本社を置く大栄製作所は、2013年にメキシコに進出し、主に日産自動車向けにボンネットを開け閉めするヒンジ(ちょうつがい)などを製造している。現在、日本本社の社員は36人だが、メキシコ現地法人だけで70名の従業員を抱え、年商2億円を上げている。

宮城県仙台市の郊外、利府町に本社を置くティ・ディ・シー(以下、TDC)は、見た目は町工場そのものだ。だが、その中身がすごい。同社は金属、セラミックス、樹脂、ガラスなどどんな素材でも、どんな形状でもナノレベルの精度で研磨できる超精密鏡面加工技術を持つ世界オンリーワン企業だ。

第32回
イオンの作用で軽く磨くだけで歯垢を除去できる歯ブラシが売れている。千葉県に本社を置くアイオニック株式会社が製造販売する「KISS YOU」は累計3億本、毎年1500万本を売る大ヒット商品であり、間接販売を含めると世界50カ国に広がっている。一体なぜ売れているのか。

第31回
1939年の創業以来、80年もの間、ネジを中心に金属部品を作り続けてきた神奈川県に本社をおくミズキ。3代目社長の水木は「事業を伸ばそうと思ったら海外しかない」と語る。
