後藤謙次
新型コロナウイルスの感染拡大の勢いは止まらず、2020年12月22日には、ついに死者が3000人を超えた。コロナ禍が日本社会全体に暗い影を落としたまま21年が始まる。政治も例外ではない。

2021年の政治の焦点は首相の菅義偉が伝家の宝刀である衆院解散権をいつ行使するかに尽きる。過去2度の解散は前首相の安倍晋三が政権戦略の一環としてタイミングや争点を自ら設定し、自民党を大勝に導いた。しかし、菅が手にしている選択肢は極めて限定的だ。最大の要因は衆院議員の任期が21年10月21日に迫っていることにある。加えて新型コロナウイルスの感染拡大という誰も経験したことがない状況下での解散判断には決め手がない。

「菅に屈するか、公明に屈するかの状態だ。みんな板挟みになって困っている」(自民党幹部)──。

「衆院1月解散見送り」――。これは「日本経済新聞」の11月28日付朝刊1面トップの見出しだ。この日、新聞各紙や主要テレビ局も同様のニュースを報じた。各メディアが足並みをそろえたのには伏線があった。首相の菅義偉が信頼を寄せる自民党国対委員長の森山〓(もりやま・ひろし、〓はしめすへんに谷)が行った、22日の鹿児島での講演だ。

首相の菅義偉が厳しい状況に直面している。新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからないからだ。新聞各紙の感染者数を伝える記事に、「過去最多」の4文字が頻繁に登場する。しかも菅にとってつらいのは、感染者急増の要因の一つに菅自身が旗振り役となっている「Go To キャンペーン」事業との因果関係が取り沙汰されていることだろう。

国際オリンピック委員会(IOC)会長のバッハが来日した。目的は首相の菅義偉ら日本側の最高責任者と会談し、来年夏に延期された東京五輪の開催にゴーサインを出すこと。東京五輪組織委員会幹部の一人は、来日の背景をこう語った。

敗戦後の日本再建の先頭に立った吉田茂は、対米交渉に当たって「負けっぷりの良さ」にこだわったとされる。民主、共和両党が激突した米大統領選も「Good Loser(良き敗者)」を前提に成立する。「Graceful Concession(威厳ある撤退)」という言葉もある。敗者が「負けました」と言って終わるのが米大統領選の伝統でもあるからだ。

「これだけ大きな戦いに2度挑み、2度負けた。政治家としてはけじめをつけなければなりません。市長の任期をもって僕の政治家としての任期は終了とします」。大阪維新の会代表で大阪市長の松井一郎は、大阪都構想の是非を問う住民投票で2度目の敗北が決まった11月1日深夜、自らの政界引退を表明した。ただし市長の残り任期は全うするというもので、結果に対する責任の取り方としては中途半端な印象を残した。

「爆発的な感染を絶対に防ぎ、国民の命と健康を守ります」――。首相の菅義偉は10月26日の就任後初の所信表明演説で、新型コロナ対策に全力を挙げる考えを強調した。これに先立って23日に開かれた政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は、年末年始の休暇を延長する提言をまとめた。

永田町では「大勲位」と呼ばれていた元首相、故中曽根康弘の内閣・自民党合同葬が10月17日営まれた。会場となった東京・高輪のグランドプリンスホテル新高輪には降りしきる冷たい雨の中、参列者の列が続いた。101歳という長い人生を生き抜いたからだろう。中曽根の政治家人生を支えた見慣れた顔がめっきり少なくなっていた。

Number 502
「5年前とはだいぶ違いますわ」――。大阪維新の会の動向を結成当時からウオッチしている在阪のジャーナリストはこう語った。大阪市を廃止して四つの特別区を新設する「大阪都構想」の是非を問う住民投票のことだ。10月12日に告示され、投開票は11月1日だ。

Number 501
首相、菅義偉を誕生させた自民党総裁選が終わってまだ1カ月というのに、党内は早くも来年9月に再び実施予定の総裁選に向けての前哨戦が始まったかのようだ。衆院議員の残り任期は約1年。政局は1年以内に行われる「二大決戦」が絡み合い、複雑な展開を見せる。

Number 500
「だいぶ薬が効いて、健康を回復しつつある。一議員として菅政権を支えていきたい」。持病の悪化で退陣表明をしてからちょうど1カ月の9月28日──。前首相の安倍晋三は東京・芝の東京プリンスホテルで、自身が事実上のオーナーといっていい自民党細田派のパーティーに出席し、こう挨拶した。

Number 499
「45年前、地縁も血縁もない横浜の地で、政治の世界に飛び込んでたどり着いたのが小此木先生の事務所でした」。首相の菅義偉は9月21日午後、秘書として仕えた元通商産業相、小此木彦三郎の墓前で頭を垂れた。めったに感情を表に出さない菅が込み上げるものを抑えるかのようにテレビカメラの前で切々と思いを語り、こう付け加えた。

Number 498
前首相の安倍晋三(65)が退陣を表明してからわずか半月余。安倍を支え続けてきた大番頭の前官房長官、菅義偉(71)が一気に権力の階段を駆け上がった。9月16日午後に召集された第202臨時国会で菅は第99代の内閣総理大臣に選出された。長い自民党の歴史の中でも初めての「無派閥首相」の誕生だ。

Number 497
自民党本部8階ホールのステージ上に大きな看板が掲げられた。「自由民主党総裁選挙 所見発表演説会」――。9月8日午後1時すぎ、壇上で総裁選管理委員長の野田毅らが待つ中に候補者3人が姿を見せた。元幹事長の石破茂(63)、官房長官の菅義偉(71)、政調会長の岸田文雄(63)。会場は新型コロナウイルス感染対策のため、出席議員数が限定された。そして何よりも14日の投票日を待たずに「菅義偉新総裁」が“内定”しており、全く盛り上がりを欠いた。3人は約20分ずつの演説を行ったが、演説中の拍手もなく、いつもの総裁選とは全く様相を異にしていた。

Number 496
8月28日午後1時25分すぎ、首相官邸で開かれていた政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の会議が終わった直後のことだった。首相官邸から自民党幹事長室に電話が入った。声の主は首相秘書官兼補佐官の今井尚哉だ。

Number 495
首相の安倍晋三は8月24日、2週連続で東京・信濃町の慶應大学病院に通院した。前回の17日の通院について安倍はこう語っていた。

Number 494
首相の安倍晋三の健康問題を巡る臆測が乱れ飛び、一向に収まる気配がない。きっかけとなったのが8月17日の慶應大学病院での検診だった。首相周辺は「休み明けの体調管理に万全を期すため」と説明したようだが、検診に至るまでの安倍の動静を追うと、にわかに信じ難い疑念が付きまとう。そもそも安倍の健康問題をクローズアップさせたのは、側近の自民党税制調査会長の甘利明。16日のフジテレビの報道番組での発言だった。

Number 493
「今年の8月は例年とは違う夏になるが、コロナ対策を緩めてはいけない」。東京都知事の小池百合子が記者会見でこう呼び掛けたのは7月31日。小池の指摘通り、政界も「例年とは違う夏」となった。
