後藤謙次
Number 501
首相、菅義偉を誕生させた自民党総裁選が終わってまだ1カ月というのに、党内は早くも来年9月に再び実施予定の総裁選に向けての前哨戦が始まったかのようだ。衆院議員の残り任期は約1年。政局は1年以内に行われる「二大決戦」が絡み合い、複雑な展開を見せる。

Number 500
「だいぶ薬が効いて、健康を回復しつつある。一議員として菅政権を支えていきたい」。持病の悪化で退陣表明をしてからちょうど1カ月の9月28日──。前首相の安倍晋三は東京・芝の東京プリンスホテルで、自身が事実上のオーナーといっていい自民党細田派のパーティーに出席し、こう挨拶した。

Number 499
「45年前、地縁も血縁もない横浜の地で、政治の世界に飛び込んでたどり着いたのが小此木先生の事務所でした」。首相の菅義偉は9月21日午後、秘書として仕えた元通商産業相、小此木彦三郎の墓前で頭を垂れた。めったに感情を表に出さない菅が込み上げるものを抑えるかのようにテレビカメラの前で切々と思いを語り、こう付け加えた。

Number 498
前首相の安倍晋三(65)が退陣を表明してからわずか半月余。安倍を支え続けてきた大番頭の前官房長官、菅義偉(71)が一気に権力の階段を駆け上がった。9月16日午後に召集された第202臨時国会で菅は第99代の内閣総理大臣に選出された。長い自民党の歴史の中でも初めての「無派閥首相」の誕生だ。

Number 497
自民党本部8階ホールのステージ上に大きな看板が掲げられた。「自由民主党総裁選挙 所見発表演説会」――。9月8日午後1時すぎ、壇上で総裁選管理委員長の野田毅らが待つ中に候補者3人が姿を見せた。元幹事長の石破茂(63)、官房長官の菅義偉(71)、政調会長の岸田文雄(63)。会場は新型コロナウイルス感染対策のため、出席議員数が限定された。そして何よりも14日の投票日を待たずに「菅義偉新総裁」が“内定”しており、全く盛り上がりを欠いた。3人は約20分ずつの演説を行ったが、演説中の拍手もなく、いつもの総裁選とは全く様相を異にしていた。

Number 496
8月28日午後1時25分すぎ、首相官邸で開かれていた政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の会議が終わった直後のことだった。首相官邸から自民党幹事長室に電話が入った。声の主は首相秘書官兼補佐官の今井尚哉だ。

Number 495
首相の安倍晋三は8月24日、2週連続で東京・信濃町の慶應大学病院に通院した。前回の17日の通院について安倍はこう語っていた。

Number 494
首相の安倍晋三の健康問題を巡る臆測が乱れ飛び、一向に収まる気配がない。きっかけとなったのが8月17日の慶應大学病院での検診だった。首相周辺は「休み明けの体調管理に万全を期すため」と説明したようだが、検診に至るまでの安倍の動静を追うと、にわかに信じ難い疑念が付きまとう。そもそも安倍の健康問題をクローズアップさせたのは、側近の自民党税制調査会長の甘利明。16日のフジテレビの報道番組での発言だった。

Number 493
「今年の8月は例年とは違う夏になるが、コロナ対策を緩めてはいけない」。東京都知事の小池百合子が記者会見でこう呼び掛けたのは7月31日。小池の指摘通り、政界も「例年とは違う夏」となった。

Number 492
「非常事態に直面した現実を重大に受け止めるべきだ」――。健康不安説すら飛び交っていた北朝鮮の最高指導者、金正恩の肉声が伝えられた。7月26日、朝鮮中央通信は北朝鮮国内で新型コロナウイルスの感染者が出たことを初めて報じた。しかも感染者は韓国への脱北者で、北朝鮮西部の都市、開城に戻ったとされ、南北関係に影響を与える可能性も出ている。金は5月に開かれた朝鮮労働党中央軍事委員会で、米国の核の脅威に対処するため「核戦争抑止力」の強化を表明した。

Number 491
コロナ禍で落ち込んだ経済回復の目玉だったはずの観光支援事業「Go To トラベル」が、しゃれにもならない「Go To トラブル」となって迷走を続ける。

Number 490
コロナ禍での自然災害」──。日本社会が恐れていたことが現実のものとなった。熊本県南部を流れる球磨川は記録的な大雨で「暴れ川」となり、多くの人命や家屋、生活を奪った。着の身着のままで避難した住民らが身を寄せ合う避難所も、感染防止のため「3密」の回避に力点が置かれるなどこれまでとは運営が大きく異なった。災害応援で派遣された香川県高松市の男性保健師が新型コロナウイルスに感染していたことが分かり、避難住民がPCR検査を受けるという思わぬ事態も発生した。

Number 489
東京都知事選で史上2番目の得票数で再選を果たした小池百合子(67)は、投開票から一夜明けた7月6日、“古巣”ともいえる永田町に凱旋した。まず首相官邸に首相の安倍晋三を訪ね、その後、東京五輪組織委員会会長の森喜朗(82)、公明党代表の山口那津男(67)、そして夕方には小池圧勝の立役者である自民党幹事長の二階俊博(81)を自民党本部に訪ねている。

Number 488
政治の流れが速い。「秋の政局」が通り相場だが、今年は「夏の政局」といっていいほど政治のキープレーヤーたちが活発に動く。結果として永田町全体が浮足立つという構図だ。

Number 487
新型コロナウイルスの感染拡大とともに目立つのは、首相の安倍晋三が下す突然の方針転換、決定だ。

Number 486
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本政府は計111カ国・地域への渡航中止を勧告しており、事実上の「鎖国状態」にある。

Number 485
6月に入ってから自民党幹事長の二階俊博(81)の注目度が一気に高まっている。自民党本部4階にある幹事長室は千客万来。幹事長代理の林幹雄(73)、金田勝年(70)ら側近に加え、首相の安倍晋三(65)の側近でもある幹事長代行の稲田朋美(61)らが常駐。そこに自民党選挙対策委員長の下村博文(66)、国対委員長の森山裕(75)ら幹部が引きも切らずに出入りする。

Number 484
「東京アラートを発動いたします」。6月2日夜、グリーンとグレーのツートンカラーの防災服に身を包んだ東京都知事の小池百合子(67)は記者会見で都民にこう呼び掛けた。

Number 483
新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから首相の安倍晋三の記者会見は8回行われている。ただし、その会見ではほとんどサプライズがなかった。

Number 482
首相の安倍晋三が目指した検察庁法改正案は、世論の反発という大きなうねりの中であえなく今国会での成立断念に追い込まれた。
