
後藤謙次
Number 450
その映像をテレビで見ない日はないかもしれない。首相の安倍晋三に向かって進む韓国大統領の文在寅。2人は握手を交わすが、それだけ。安倍は文の退席を促す。この映像ほど今の日韓関係を象徴するものはないだろう。

Number 449
テレビの報道・情報番組で来年の東京五輪・パラリンピックの関連行事が放送されない日はない。東京五輪の開会式まで1年を切った。開会式までちょうど1年となった7月24日には、東京駅前の丸の内中央広場に大型時計「カウントダウンクロック」が設置された。お披露目のイベントに登場した主役は東京都知事の小池百合子(67)だ。

Number 448
「安定した政治基盤の上に、新しい令和時代の国造りを進めようとの力強い信任をいただいた」首相の安倍晋三は、参院選で与党過半数確保を受けて行った7月22日午後の記者会見で胸を張った。だが内実は「勝利感なき勝利」(自民党幹部)。比例代表では前回同様19議席を獲得したが、総有権者に対する得票率は17%にとどまった。野党多党化の“恩恵”に浴したにすぎない。

Number 447
今年の参院選は、12年ごとに巡ってくる「亥年選挙」。統一地方選と参院選が同じ年に行われるため、各政党をはじめ有権者にも「選挙疲れ」が生じる。参院選史上最低の投票率を記録した1995年も亥年だった。44.45%という数字が、選挙への関心がいかに低かったかを物語る。

Number 446
参院選が序盤戦から中盤戦に差し掛かった7月9日午前8時40分すぎ、首相官邸の玄関ホールに現れた首相の安倍晋三をテレビカメラと記者団が取り囲んだ。安倍はかみ締めるように話し始めた。「今回の判決内容については一部に受け入れ難い点があることも事実だ。しかし、筆舌に尽くし難い経験をされたご家族の皆さまのご苦労を、これ以上長引かせるわけにはいかない。その思いの下、異例のことではあるが、控訴をしないこととした」

Number 445
米大統領のトランプが繰り出す一手はいつも予測不能だ。得意の「ツイッター外交」で今度は北朝鮮の最高指導者、金正恩との3回目の米朝首脳会談を実現させた。それも米朝対立の象徴的な場所である板門店。南北の軍事境界線を両首脳が行き来した。トランプは北朝鮮領内に初めて足を踏み入れた米大統領になった。外務省幹部もトランプの“動物的勘”には舌を巻く。

Number 444
気の抜けたビールのような野党側が提出した内閣不信任決議案があっさり否決され通常国会は、延長もなく淡々と閉幕した。その直後の日本で初めて開催された主要20カ国・地域(G20)首脳会議を経て一気に参院選に向けて走りだした。公示は7月4日、投開票日は7月21日の短期決戦だ。

Number 443
日本で初めて大阪で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議(28~29日)を目前にした16日早朝、大阪府吹田市で交番襲撃事件が発生した。襲われた警察官は重傷を負った上に実弾5発が入った拳銃を奪われ、政府は強い衝撃を受けた。政権幹部も「場所もタイミングも最悪」と声を落とした。大阪府警による異例の画像公開で容疑者のスピード逮捕に至ったが、史上最大の警備態勢を敷いている最中の事件に政府のショックは大きい。

Number 442
「年金と参院選」──。首相の安倍晋三にとってこの組み合わせは「悪夢」そのものではないか。「年金とトラウマ」といってもいいかもしれない。安倍が陣頭指揮を執る参院選になると、なぜか年金をめぐる問題が浮上、そして結果は自民党の敗北が続いた。とりわけ安倍が政権の座から退くきっかけとなった2007年は今も安倍の心を支配しているようだ。

Number 441
首相の衆院解散権は「伝家の宝刀」「首相の専権事項」と呼ばれる。首相以外は誰も手を触れることができない。首相という最高権力者の証しでもある。それだけに歴代首相は解散については常に慎重だった。ところが、首相の安倍晋三はこの解散に自ら言及した。

Number 440
やはり米大統領のトランプは「制御不能」だった。5月25日からの3泊4日のトランプ訪日はまさしく「お祭り騒ぎ」。ゴルフに始まり、大相撲観戦、六本木の居酒屋の炉端焼きでのもてなし。外務省関係者ですら「大統領来日に備えた最大の仕事はどう接遇するかにあった」と漏らすほどの厚遇だった。もちろんそれには“下心”があった。

Number 439
「これから一気に解散に向けた流れが強くなる」。自民党最高幹部の一人がこう言えば、長老は「今、衆院選挙をやって安倍さんにメリットがありますか」と反論する。自民党政調会長の岸田文雄は「自民党議員が集まれば、必ず同日選挙の話題になる」と語る。

Number 438
「マーケットと投資家のしっぺ返しが心配だ」。経済産業省の幹部が示した強い懸念が現実のものになった。言うまでもなく米大統領のトランプが突き進む対中国強硬路線のことだ。すでにトランプは中国からの全輸入品のうち2500億ドル分について関税率を引き上げ25%とし、米中協議が物別れに終わると、即座に残る3000億ドル分にも制裁関税を課す手続きに着手した。これが実施されれば昨年7月に踏み切った、半導体などの関税強化の第4弾になる。トランプはなぜここまで強硬なのか。

Number 437
「平成」から「令和」への代替わりをまたいだ超大型の10連休が終わり、再び7月の参院選をにらんで「政治の季節」が巡ってきた。その政治の中心的役割を担うのは誰か。人知れず大型連休中に駆け引きが始まっていた。

平成から令和の代替わりを挟んで永田町は長い政治休戦の中にあった。首相の安倍晋三が欧米6カ国の歴訪に旅立ったのは4月22日。その後、日本国憲法が施行されてから初めて平成の天皇陛下が退位(4月30日)され、翌日(5月1日)、皇太子さまが新天皇に即位された。この間は日本社会が経験したことがない超大型の10連休となった。

久しぶりに春らしい陽光が降り注いだ4月13日午前、東京の新宿御苑で恒例の首相主催の「桜を見る会」が開かれた。招待客は約1万8000人。首相の安倍晋三が夫人の昭恵を伴って会場に現れたころには、広場は招待客で埋め尽くされていた。そんな中で、安倍があいさつに立った。

「個人会社から株式会社になった」。府知事と市長の大阪ダブル選を制した大阪維新の会代表の松井一郎は親しいメディア関係者にこう語ったという。元大阪市長、橋下徹の発信力と突破力で“創業”した維新が“橋下抜き”で大自民党を敵に回して蹴散らしたからだ。松井は橋下と共に大阪都構想に執念を燃やす。政令指定都市である大阪市を廃止し、現行の24行政区を東京23区と同様の特別区に再編する構想。その実現にはダブル選で全勝しなければならない。

事前に公表されていた時刻から10分ほど遅れて官房長官の菅義偉が紺色のスーツに明るいブルーのネクタイ姿で現れた。4月1日午前11時40分すぎ。首相官邸1階にある記者会見場は水を打ったように静まり返り、張り詰めた空気が支配していた。

今年も年度替わりを迎えた。ただし、いつもとは決定的に違う。4月1日に平成の次の時代の新元号が発表されるからだ。おそらく4月は新旧の時代が交錯する一カ月になる。この前例のない一年を実感できるのが昨年秋に発売された「平成31年皇室カレンダー」(公益財団法人菊葉文化協会)だろう。

Number 362
第48回衆院選が10月22日投開票され、与党が定数の「3分の2」を確保して大勝した。首相の安倍晋三は国政選挙5連勝を成し遂げ、吉田茂政権以来となる「第4次内閣」が発足する。
