
塚崎公義
財政が破綻すると皆が確信した瞬間に国債が暴落するが、最後に大逆転が起きて、財政は結局破綻しない。ストーリー形式で、財政破綻をめぐって起こるできごとを解説していこう。

日本人投資家には、日本国債を買うインセンティブがある。彼らが買えば、日本政府は資金繰りが回るので、財政は破綻しない。一方、ギリシャは財政危機に陥った。どういった違いがあったのだろうか。

「国は赤字」というのは、中央政府の財政収支が赤字だということだ。日本の外国との取引は黒字であり、対外純資産も巨額の黒字である。新型コロナ不況への対応で、財政赤字が巨額に膨らんでいることから、財政に関して数回のシリーズを組み、解説していく。

会社が倒産するか否かを決算書から予測することは容易ではないが、ある程度の見当をつけることはできる。それを予想できれば、損失を避けられる可能性も高まるだろう。

「銀行に貸し渋りをされたら他の銀行から借りればよい」というのが理屈ではあるが、実際には容易ではない。だから貸し渋りの景気への悪影響が深刻なのである。

金融危機が発生すると銀行が貸し渋りをする場合があるが、銀行が意地悪をしているわけではなく、自己資本比率規制によりやむを得ず貸し渋りをするのである。

現在のようなコロナ不況の局面においては、再建困難な赤字企業でも、原則として政府が支援すべきである。倒産は経営者や従業員の仕事を奪うだけではなく、企業に蓄えられていたノウハウや信用等々が雲散霧消してしまい、日本経済にとって大きな損失だからである。

現在の景気局面においては、再建困難な赤字企業でも、銀行が支援すべき場合も多い。新型コロナ不況は深刻であり、自粛ムードが続けば倒産の危機に直面する赤字企業も多発出てくるだろう。銀行としては、融資を打ち切りたいと考えるかもしれないが、話はそう簡単ではない。

銀行は、新規取引先への融資の際は返済能力をしっかり調べるが、既存先には多少難があっても融資を継続する場合も多い。それには合理的な理由がある。

新型コロナウイルスの影響で、世界的に経済活動が深刻な打撃を受けている。景気悪化で銀行の不良債権が増えると取り付け騒ぎが発生する可能性が出てくるが、日本ではその可能性は低いだろう。

新型コロナ不況で金融危機が発生する可能性は否定できない。予測としてではないが、リスクシナリオとして頭の片隅に置いておきたい。数回にわたるリスクシナリオのシリーズでお届けする。

1人10万円の資金配布分について、国は収入が減っていない人に対する復興税で取り返し、それを財源に飲食店などを支援すべきである。

新型コロナ不況は需要の減少によって引き起こされているため、デフレの要因になると思われている。しかし、リスクシナリオとして「インフレになる可能性」も考えておくべきであろう。

新型コロナウイルスによる不況は、リーマンショックより扱いにくく、落ち込みも深刻だ。しかし、感染が収まったときには、不況は急速に回復するだろう。

日本経済は新型コロナウイルスの感染拡大で深刻な不況に陥っている。しかし、そんななかでも少子高齢化によって不況に打たれ強くなっていることは、明るい材料である。

新型コロナウイルスによって落ち込む景気対策として、現金を国民全員に配布する案が出ていたが、最終的には「収入が減少した世帯」を対象にするようだ。「国民全員」への給付には危惧を抱いていたものの、この判断には賛同できる。

新型コロナウイルスの感染拡大による景気の落ち込みが懸念されることを受けて、政府が景気対策に本格的に取り組むようだ。「消費税減税」を求める声もあるが、それよりも「雇用維持」と「所得補償」を最優先にすべきだろう。

新型肺炎の流行を受けて、罹患しているか否かの検査を受けたい人が増えている。しかし、感染者との濃厚接触者や重症者以外は検査を受けるべきではない。検査を受けるメリットよりもリスクの方が大きいからだ。

新型肺炎の感染拡大に関する「デマ」により、トイレットペーパーが店頭から消えた。「在庫は十分にある」とメーカーは言い、「冷静に行動しろ」と政府は言うが、本当にトイレットペーパーは足りているのか。

中国経済が大混乱してもリーマンショック級の不況には陥らない理由
新型肺炎による経済活動への影響が懸念されている。しかし、仮に中国経済が新型肺炎によって大混乱したとしても、日本経済への影響はリーマンショックより小さいだろう。
