中村正毅
郵便局における保険の不適切販売を巡って、定例会見で頭を下げた日本郵政の首脳陣。謝罪会見にもかかわらず、強気の受け答えが目立ったその背景には、政治の後ろ盾を得たという自信が垣間見える。

郵便局における保険販売を巡って、日本郵政傘下の日本郵便と、親会社が資本提携しているアフラック生命保険が、販売継続の合理的な説明が付かないという苦しい立場に置かれ始めた。

第5回
トップライン至上主義で、国内首位の座を同業他社と激しく争ってきた損保ジャパン日本興亜が、営業方針を大転換し、競争から離脱する決断をした。業界に衝撃が走った決断の裏側にあったものとは一体何か。真相を探った。

日本郵便とかんぽ生命保険による不適切販売問題で、当面の販売自粛か継続かを巡り、日本郵政グループとアフラック生命保険の対応が迷走している。

保険料の二重払い契約など、不適切な販売(募集)が発覚した日本郵便。かんぽ生命保険以外の商品も自粛するのか、それとも新規募集を続けるのかという方針を巡って、対応が混迷を深めている。

投資信託や生命保険で、高齢者を食い物にするような不適切な販売が横行していた、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険。信用を失墜させたその背景には、日本郵政の首脳陣による日和見主義が見え隠れしている。

「(2018年度の新契約)年換算保険料は減少しました。理由は、(節税保険で)他社が追随商品を販売し競争が激化したことによる、プラチナフェニックスの販売量の減少です」7月2日、日本生命保険が大阪市内で開いた総代会の席上で、清水博社長は18年度の業績についてそう振り返った。

一向に火の手が収まらない「老後2000万円問題」。報告書をまとめた金融庁と政権与党との間に大きな亀裂が生じる中で、その様子を陰で笑っている組織がある。公正取引委員会だ。

「保険はお守りのようなもの」──。保険の加入を勧める現場で、押しの一手としてこれまで使い古されてきた言葉だが、それをまさに地でいくかのような商品が今年3月、産声を上げた。

昨夏に自然災害が過去に類を見ないほど頻発したことで、SOMPOホールディングスの中核会社、損保ジャパン日本興亜の財務上の弱点が、図らずも浮き彫りとなった。

追加関税の引き上げによって米中貿易摩擦が再燃する中で、日本政府は昭和の時代に起きた事件を重ね合わせ、摩擦の渦に巻き込まれていくことへの警戒を強めている。

政府系ファンドがつくり出した「日の丸液晶」が、ついに台湾と中国の企業連合に身売りされることになった。その大きな原因の一つになったのが、首をかしげたくなるような財務運営だった。

生命保険会社が乗り合い代理店に支払う報酬を巡って、金融庁が追加の実態調査に乗り出している。適正化への圧力を一段と強めるのが狙いだが、そうした圧力をかわすかのように、外資をはじめ一部の生保による抜け駆け行為はいまだ収まる気配がない。

傘下に生命保険、損害保険、少額短期保険業者を抱え、昨年9月に上場したSBIインシュアランスグループ。財務省出身の乙部辰良会長兼社長に、買収方針など今後の成長戦略について聞いた。

4月10日午後4時、国税庁は生命保険会社42社を緊急招集し、節税保険を巡る新たな税務処理案を提示した。各社は「一体どこまで踏み込んでくるか」と身構えていたものの、その内容は拍子抜けするほど手緩いものだった。

販売競争が過熱していた「節税保険」にようやくメスを入れた国税庁。生命保険業界に動揺が広がる中、税務ルールの見直し策が再編の号砲を鳴らしてしまった。

「一部の話とはいえ、思っていた以上にひどい内容で衝撃を受けた」。生命保険会社の幹部らが今、もっぱらそう話し、頭を抱えている調査結果がある。銀行などの金融機関代理店における顧客からの苦情について調べ分析したものだ。

株主還元の充実を狙って、連結最終損益を「グループ修正利益」という独自の指標に変更し、増配方針を示したものの、市場からの反応は依然として乏しいままだ。

生命保険会社とその経営を監督する金融庁の攻防が年明け以降、本格化している。舞台となっているのは、一時払い(一括払い)の外貨建て貯蓄性保険と、中小企業経営者を主なターゲットにした「節税保険」の2つだ。

「(小宮氏を)後任に選んだ理由は誠実さ。彼はスーパー誠実。どの国どの人種の人であっても、そう思わせる力がある」記者会見で永野社長がそう話したように、後継者選びで重視したのは入社年次でも経歴でもなく、まさに「人柄」だった。
