2021.5.30 「ウィズ・コロナ」のあり方とは?いま、川端康成『雪国』を読むべき理由 川端康成はノーベル文学賞の受賞理由を「日本的な美や芸術のおかげだ」と語った。筆者は、その「美」が『雪国』に余すところなく表現されていると考えている。川端のいう日本的美しさについて、また『雪国』が発するメッセージについて記したい。
2021.5.9 谷崎潤一郎は反戦思想家!?お見合い物語『細雪』を戦時下に書いた理由 谷崎潤一郎の作品はエロティックで、変態的で、エッジのきいた嗜好の描写が多い。だが、戦時下に自費出版を敢行してまで書き上げた代表作『細雪(ささめゆき)』からは、彼の意外な一面が見える。
2021.2.28 女性の性愛の表現を切り拓いた『みだれ髪』、今に通じる与謝野晶子の労働論とは? 与謝野晶子の代表作『君死にたまふことなかれ』は、日露戦争を背景とした「反戦詩」ともいわれる。当時、画期的だった「女性の自立」を訴えた彼女の意志はやはり強い。そのような彼女が情愛に揺れる気持ちを詠じたのが『みだれ髪』である。女性の性…
2021.2.14 『人間失格』にみる、「繊細さん」太宰治の視点 太宰治には多数の読者がいる。いや、読者だけではない。作品や世界観に言及した「太宰治論」も多くの人に語られてきた。その分量は他の作家を圧倒する。以前の記事で私は、「古典」について「多くの注釈書が書かれてきた書物」と定義した例を紹介し…
2020.12.27 遊女とお寺の子の恋物語 『たけくらべ』、現代との隔たりが気づかせるもの 「古典」は、関心を持たれ続けることで古典たり得る。その意味でも書名が有名な『たけくらべ』は、まごうことなき古典だ。しかし同書の内容を説明できる人はどれだけいるだろうか。2024年に紙幣のデザインが刷新され、5000円札の肖像が替わる。その…
2020.12.13 書家・紫舟さんがコロナ禍の今、10年ぶりの巡回展を始めたワケ 書家でアーティストの紫舟(ししゅう)さん。NHK大河ドラマ「龍馬伝」の題字で筆を執った人として知られている。フランス国民美術協会展で、横山大観以来となる主賓招待アーティストに選出され、2017年には天皇、皇后(現・上皇、上皇后)両陛下が…
2020.11.29 芥川龍之介『羅生門』が描いた「正義への居直り」の危うさとは? 「芥川龍之介」と聞いてその名を知らない人はほとんどいないと思う。今の若者の圧倒的大多数は、高校の「国語総合」で彼の作品「羅生門」を学んでいる。また、文学の権威ある賞が「芥川龍之介賞(通称〈芥川賞〉)」と呼ばれていることからも、知名…
2020.10.25 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む、主人公が求めた「本当の幸せ」とは? 宮沢賢治は深く、長く愛されている作家だ。彼が紡いだ諸作品は独特の世界に読者を引き入れ、多くの問いかけをもたらしてくれる。今回は、賢治の代表作『銀河鉄道の夜』を解題しつつ、いま忘れられがちな「大切なこと」を確認したい。
2020.10.8 コロナ禍で急成長の「産直SNS」は、担い手不足の農業・漁業を蘇らせるか 全国の農家・漁師から直接食材を購入できるスマホアプリ「ポケットマルシェ」がいま急成長を遂げている。本年2月時点で約5万人だったユーザー数はコロナ禍の半年で22万人を超えた。この急成長の肝になっている要素の一つが「発信」である。発信の重…
2020.9.28 「趣味は炎上」と公言する田端信太郎氏に聞く、発信の哲学 「個人の時代」と言われる今、価値ある発信とは何か。Twitterのフォロワーは23万人を超え、“趣味は炎上”とも公言している田端信太郎さんに、発信の意義を聞いた。
2020.9.13 夏目漱石『吾輩は猫である』の奥深さ、コロナ禍を猫目線で見つめて気づくこと 日本を代表する文豪・夏目漱石。代表作は、』『三四郎』『それから』『こゝろ』などだ。没後100年を超えた今でも漱石を語る・論じる言説は編み出され続けている。今回は、彼の処女作である『吾輩は猫である』について解題してみよう。
2020.8.16 なぜ今、ビジネスの世界で「アート思考」が求められているのか 厳しい時代を勝ち抜くため、企業にはイノベーションが不可欠だ。現在、イノベーションを生み出す一つの視点として「アート」が注目されている。なぜアート起点の発想がビジネスに求められるのか。その背景を紐解く。
2020.7.28 茂木健一郎の「人工知能は人間の仕事を奪うのか」に対する答え なぜ私たちには意識があるのか?この問いについて、「クオリア」というワードを鍵に挑んできた脳科学者・茂木健一郎氏が、16年ぶりに「意識」「クオリア」とがっぷり四つに組んだ新著『クオリアと人工意識』(講談社現代新書)を出版した。なぜ今、…
2020.5.26 ソーシャルディスタンスを「ヘイト」の理由にしてはならない理由 在宅ワーク、等間隔に並んだレジ待ちの列、至る所に設置された消毒液……。ソーシャルディスタンスが「日常」と化した今の問題点を、ダニエル・デフォー、スーザン・ソンタグ、スラヴォイ・ジジェクを引用し、「知の越境家」が解説する。
2020.3.12 匿名アカウントと実名・顔出し、本当にリスクを取っているのはどちらか? 『ブラック・スワン』、『反脆弱性』で知られるベストセラー作家ナシーム・ニコラス・タレブ。新著『身銭を切れ』で明らかにした不確実な世界で取るべき「身銭を切る」という生き方とは、いったい何なのか。SNSを切り口に解説する。
2019.12.26 「貯められないお金」で人は幸せになれるのか? 「いい会社」への投資で利益を出す鎌倉投信の創業者にして、「共感資本社会」の実現を目指してeumoを起業した新井和宏氏が始めた、「貯められないお金」eumo(ユーモ)。果たして、人はこのお金で本当に幸せになれるのか?