StartPoint エンジェル投資家 小原聖誉

■2019年の振り返り

 スマホが成熟し、コンテンツ市場がまず一巡。コスト勝負では海外勢が強い(「Netflix」や「荒野行動」)。今年の潮流は、プラットフォームに寄り付いたユーザをフックにしたもの。例は以下のとおり。

・インスタ×決済=韓国アパレルD2C「17kg」、世界観アパレルD2C「BLACK BUNNYS

・Slack/LINE×重い産業の効率化=iPad受付システム「RECEPTIONIST」、飲食店受発注ツール「CONNECT

■2020年のトレンド予測

 マクロ環境から確定しているのは民泊領域。オリンピックイヤーでかつてないほどになる。インバウンドユーザはAirbnbも活用し訪日することから、提携プロダクトは果実を得るだろう(予約管理システムの「m2m Systems」など)

 エンジェルの立場として興味があるのはニッチナンバーワンを望める市場。その視点で美容医療領域、サプリD2C領域、業務効率化領域の3つに注目している。

・美容医療=「Meily」「トリビュー」「カンナムドール

 実は日本は世界第3位の整形大国。プチ整形することはファッションになりつつある。ただ、日本は質の割に価格が高いのがネック。一方、韓国は質の割に価格が安い。言語格差があるものの、17kgが売れていることから韓国への共感が強くなっている。ここは来年爆発するだろう。

・サプリD2C=「FUJIMI

 マーケコスト偏重の大手メーカーのサプリ原料が、あまり良くないと知られはじめた。本質的にD2Cが強い。サブスクとの相性も抜群。

・業務効率化=RPA。特にSMB向け/リモートワーク「どこでもデスクトップ

 RPAは大手企業に浸透したが、SMBはまだ。潜在市場規模が大きい割にプレイヤーは顕在化していない。チャンスだ。リモートワークは働き方改革の流れがあるが、様々な理由でコストが高い。業務効率化領域は不可逆であり伸び代が大きい。

シニフィアン 共同代表 朝倉祐介

■2019年の振り返り

 資本政策の観点から見ると、資金の出し手の多様化と、資金調達の大型化が際立つ1年でした。海外VC、上場株投資家、プライベートエクイティといった、大規模資金を投入できる非伝統的ベンチャー投資家の参入により、スマートニュースフロムスクラッチなどに代表されるような大型資金調達が実現できる土壌がレイト中心に整いました。

 また、SansanfreeeChatworkといったSaaSスタートアップの大型上場も目立ちました。

■2020年のトレンド予測

 シニフィアンは、レイターステージへのリスクマネー提供、並びにIPO以降も含めた経営支援を主軸とするグロースファンド「THE FUND」の運営を中心に活動していることもあり、エンジェルやVCの方とは異なる切り口の見解を述べます。

1. Pre-IPOでは資金の大型調達が継続し、そのトレンドがミドルステージにも波及すると考えます。未上場への投資需要を勘案するに、数十億円単位の資金調達はより増えることでしょう。

2. 宇宙、素材、ロボティクスといったDeep Tech系の上場が増えるでしょう。こうした各社はIT系と比して多額の先行投資を必要とすること、技術に対する期待が先行することもあり、未上場段階で高い評価を受けています。一方でSaaSのように事業価値を評価する上でのフォーマットが確立されておらず、受け皿となる上場株投資家の反応が注目されます。

3. Post-IPOでは、2017~2019年にかけて大型上場を果たしたスタートアップ、あるいは上場後に時価総額1000億円クラスまで成長した各社の事業進捗が注視される1年になります。大型Post-IPOスタートアップ各社のパフォーマンス次第では、Pre-IPOのバリュエーションにも調整がかかる局面が想定されます。

 以上は、現在の景況が大きく変わらない前提の下での見解です。マクロ環境の変化は、スタートアップの活動にも甚大な影響を及ぼします。

XTech 代表取締役CEO 西條晋一

■2019年の振り返り

 業務の生産性を向上させるSaaS利用が企業に浸透してきた。特に営業、マーケティング、コミュニケーション、HR領域のSaaSを提供するスタートアップが数多く生まれた。例えば採用管理ツールの「HERP」をいったん使い始めると、採用担当の生産性が実感値で30~40%程度向上するため、もう前の業務スタイルに戻れない。一方で資金調達では過熱感が出てきた。

■2020年のトレンド予測

 オリンピックを機に業務やライフスタイルが見直され、新しいビジネスチャンスが生まれる。改めてモビリティ領域、リモートワークなど働き方改革領域、インバウンド領域、シェアリング領域に注目している。

 既存産業で業務経験のあるミドル層の起業家がB2B領域で増えていく。既存産業Xテクノロジー文脈で、専門性を持った起業家が生み出す特化型SaaSに引き続き注目している。

 個人やSMB向けのサービスの延長線上で信用スコアを活用したローン関連ビジネスと、新たな資金調達の方法である株式投資型クラウドファンディング、ICO、STO関連ビジネスに注目している。

 D2C領域では、スタートアップの成功事例が出てきて、参入障壁が低いため、黎明期のソーシャルゲーム、キュレーションメディアのごとく、雨後の筍のように参入企業が増えてきている。当たれば急成長が見込める分野のため、ファンづくりが上手くマーケティングに強いスタートアップに注目している。

エンジェル労働家 須田仁之

■2019年の振り返り

 BtoB SaaS、Vtuber、AI、D2C、人材HR、古い業界のIT化促進。

■2020年のトレンド予測

 前述と変わらず。景気循環のダウントレンド化。金余り。苦戦上場企業の救済ディール(TOB含む)。医療・介護系。ファンコミュニティ(オンライン&オフライン、リアルイベント)。暇つぶしスマホエンタメ系。関与先ではあるが、具体的にはVTuberプロダクション事業を手がけるカバー、建設業界のマッチングサイトを展開するツクリンク、大喜利AIを開発するわたしはなど。