新卒組は、帰国子女、体育会出身者が中心
中途採用では、メーカー出身者が多い
そうはいっても、実際に採用の狭き門をくぐることができるのは東大・京大や早慶といった難関校が中心であることに変わりなく、入社のハードルが下がったということでは決してない。
「親が商社勤務もしくは帰国子女や体育会出身者で、だいたい7割を占める。残りの3割は一芸に秀でた人や、親の“コネ”入社など、強いインパクトの人ばかり」(丸紅社員)と学歴プラスアルファが求められる。
新卒生え抜き文化が強いとされる総合商社だが、各社は中途採用にも注力し始めた。現在、中途入社で多い経歴がメーカー出身者である。
特に電気や重工業、自動車などの業種は重宝される。例えば、「総合商社の自動車部門で、完成車メーカーの現地でのディーラー網構築など、現地法人の代表として、全てをマネージできる人を採用している」(中途採用支援関係者)。このような中途採用は、「毎年30~40人」(三井物産社員)と、一定の規模となっている。
三菱商事は10年間で300万円も年収アップ
入社4年目で手取り1000万円のチャンス
総合商社の人気を支えるのが「高給」だ。新卒入社の場合、30歳前後で1000万円の大台に乗る。稼ぎ出す生涯年収は約5億円ともいわれ、2億円が目安とされる平均的なサラリーマンの2.5倍だ。
近年は好調な業績を背景に、給与も右肩上がりだ。各社の有価証券報告書によれば、五大総合商社の平均年収は、18年には1467万円。09年時点で1260万円だったものが、10年間で約200万円アップした。中でも王者・三菱商事は、1301万円(09年)から1607万円(18年)と300万円超上昇した計算だ。
こうした高給は、基本給やボーナスだけではない。海外赴任に伴う手当によってもつり上げられる。「基本給に駐在手当や地域手当が上乗せされて、毎月口座に入ってくる額は、東京勤務時と比較して約2倍」(丸紅社員)といい、海外駐在時にカネを貯める。
海外駐在の手当の中でも、危険な新興国に駐在する場合は「ハードシップ手当」が上乗せされる。「ハードシップ手当が高額なエリアでは、新卒入社4~5年目でも手取りが1000万円を超える」と、ある総合商社の元社員は圧倒的な好待遇の裏側を明かす。