三つ目の発明は「ミルクチョコレート」です。1876年、元ろうそく職人のスイス人、ダニエル・ペーターは、チョコレートに濃縮ミルクをブレンドし、ミルクチョコレートを発明します。液状ミルクではすぐに腐ってしまいますが、濃縮ミルクと融合させることで、固形のままマイルドな風味を保つことが可能になったのです。この三つの発明によって現在のチョコレートの基本形が整い、その後も改良が重ねられて世界中へ普及していきます。

江戸時代に遊女が
チョコレートを記録

 日本でチョコレートについて記述された最も古い文献は1797年の『寄合町諸事書上控帳』。江戸時代に長崎の遊女が「しょくらあと 六つ」をオランダ商人からもらったことを記録しています。

1878(明治11)年12月24日発行の新聞「かなよみ」掲載の米津凮月堂のチョコレートの広告1878(明治11)年12月24日発行の新聞「かなよみ」掲載の米津凮月堂のチョコレートの広告。当時は「猪古令糖」「貯古齢糖」「千代古齢糖」などの漢字が当てられた 提供:東京風月堂

 日本で最初にチョコレートを加工製造したのは1878年、米津風月堂(現・東京風月堂)です。原料チョコレートを輸入し、欧州の菓子職人が加工製造しました。

 1899年には森永西洋菓子製造所(現・森永製菓)がチョコレートクリームの製造販売を開始、1918年には近代的な生産設備を設置して「カカオ豆からの一貫製造」を開始します。これは当時の生産方法において画期的なことでした。同年、日本初の国産ミルクチョコレート「森永ミルクチョコレート」を発売します。

 1926年には明治製菓(現・明治)もチョコレートの一貫製造を開始。「明治ミルクチョコレート」を発売します。

 森永と明治、両社の大量生産によって、日本におけるチョコレートの生産量や消費量は急激に加速していったのです。

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