開戦 ファンド大買収#3
Photo:Yuji Sakai/gettyimages

ファンド業界では今、売り出し間近と目される企業や事業の固有名詞が飛び交っている。観測先行のものもあるが、実際に企業と買い手が交渉を始めている案件も少なくない。コロナ禍を経て、多くの企業が事業の集中と選択に積極的になり、売り手・買い手両者の丁々発止の交渉はもう始まっているのだ。特集『開戦 ファンド大買収』(全10回)の#3では、ファンド業界で取り沙汰されている「出物案件」を伝える。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)

ビッグディールの狙い目は
複合企業の上場子会社

 日本の大手企業は「利益は小さいが、売上高のかさ増しと従業員の雇用維持に役立つ」という子会社や事業をグループ内に抱えていることが多い。コングロマリット(複合企業)と呼ばれるような巨大企業にもなれば、子会社の数は1000社を超える。ところが新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けたビジネス市場の変化で、「大きくは稼げないが安定した事業」は容易に「赤字の問題事業」へ転落する。また収益性がそれなりに高くても、ノンコアであり、中期的に経営資源を傾注できそうにない事業も、コロナ時代には見直しの対象だ。

 こういった前提で、今後カーブアウト(企業からの切り出し売却)される子会社や事業には、以下のような特徴があるといえる。すなわち、「複数の企業を傘下に持つコングロマリットの子会社」「非中核事業」「本体といわゆる親子上場の関係にある上場子会社」だ。三つ目の親子上場については、アクティビストから利益相反の問題を追及されやすく、経営問題になりやすい。