末永:すごく共感します。アート思考と未来志向やビジョン思考には、重なる部分もあるけど、やはり少し違うのかなと。
『ハウ・トゥ アート・シンキング』
若宮和男 著
実業之日本社 刊
若宮:そうですね。特にビジネスの世界だと、理念とかビジョンがいま重要視されていますけど、なんとなくそれの圧を感じることもすごいあって。起業家をしていると尚更その圧を感じるんですね。もちろんビジョンや理念は大事なんですけど、僕は今の自分の歪さみたいなものをもっと大事にしたいなと思っています。PDCAもそれはそれで有用なんですけど、やりすぎると「計画」が神様になってしまう。そうなると、計画に合わなかった時に、立てた数字のために「無理にでもPlanに合わせるよう、おかしなActionをする」みたいなことが起こりがちです。ビジネスの現場では、結構そういうのを見てきました。
だから最近僕は「新しいPDCA」というのを言っています。PlanとDoまでとりあえずやってみるんですけど、その後予期しなかったConflict(葛藤)に出会って、さらにそこで工夫することでArt(アート)になるっていう。アーティストを観察していると、こういうプロセスを経ているなと思うんです。Plan Do Conflict Art(プラン・ドゥ・コンフリクト・アート)みたいな(笑)。変わること前提で楽しみながら転がっていくような感覚と言いますか、計画が神様じゃないやり方のほうがアート思考的だと思います。