名門電機パナソニックの縮小均衡に歯止めがかからない。2021年3月期決算では四半世紀ぶりに売上高7兆円を割り込み、日立製作所やソニーといった競合電機メーカーの背中は遠くなるばかりだ。6月末に9代目社長に就く楠見雄規氏は、テレビ・自動車事業のリストラで実績を上げた頭脳明晰な合理主義者。早くも米ソフトウエア会社の巨額買収を決断し、10月にはグループ大改編のショック療法で巻き返しを図ろうとしている。しかし、歴史ある巨大組織の変革は一筋縄ではいかないものだ。津賀一宏・現社長をはじめとした歴代経営者は、パナソニックの変化対応力を削ぐ「鎖」――内向き志向の組織、事業部の縦割り、人事の硬直性――に苦悶し続けてきた。楠見新社長もまた、これらの呪縛から逃れられない。特集『パナソニックの呪縛』では、名門復権に挑む新社長の課題を5月17日(月)から5月23日(日)まで全13回連載でまとめた。
5月17日(月)配信
パナソニック新社長が描く「組織解体」最終形、主要4社の社長人事と“身売り”事業を大予想
10月に、パナソニックは持株会社体制への移行を踏まえた「組織大改編」を実施する。いよいよ、楠見雄規「新社長」が率いる新体制が本格スタートするのだ。組織改編のポイントは、持ち株会社にぶら下がる事業会社の自己責任経営だ。新体制では、家電や現場プロセスなどの主要4事業会社が主力とされる一方で、黒物家電など3事業会社は格下げされた。新社長が描くグループ再編の最終形の姿を明らかにすると共に、幹部の人事配置と身売り事業を予想する。
5月17日(月)配信
パナソニック「割増退職金4000万円」の壮絶リストラ、年齢別加算金リスト判明【スクープ完全版】
人員整理をタブー視してきたパナソニックが、バブル世代をメインターゲットにした本気のリストラに着手する。早期退職プログラムの一つである「割増退職金」の上限は4000万円と大盤振る舞いだ。それほどまでに、成果の乏しいロートル社員の滞留が戦力人材の活躍を阻むことが、社内では問題視されていた。本稿では、50歳を標的にした年齢別加算金リストを公開するなど早期退職プログラムの中身を詳報する。
5月18日(火)配信
ソニー・日立の「利益1兆円クラブ」にパナが程遠い理由、“事業再編度“に歴然格差
パナソニックと、ソニーグループ・日立製作所との格差拡大が止まらない。2021年3月期決算で、ソニーは当期純利益で、日立はEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)で「利益1兆円」を突破した。対するパナソニックは当期純利益1651億円と競合2社に大きく引き離されてしまった。この実力格差の要因を、事業ポートフォリオの入れ替え度や役員人事から徹底解明した。
5月18日(火)配信
パナソニック「7700億円買収」の内幕、ショック療法で断絶したい病巣の正体
パナソニックが一世一代の大博打に打って出る。世界最大のサプライチェーンソフトウエア企業である米ブルーヨンダーを買収するのだ。買収金額は実に71億ドル(約7700億円)。三洋電機をはじめ過去30年のM&A(合併・買収)はことごとく不発に終わり、“買収下手”という不名誉な市場評価が定まっているパナソニック。それでも楠見「新社長」が買収にゴーサインを出した理由とはどこにあるのか。
5月19日(水)配信
パナソニック新社長、「ミニ津賀・人望なし」の前評判を覆す“確信犯的“破壊者の素顔
津賀一宏社長の寵愛を受けたR&D出身者、リストラ専門の整理屋、頭脳明晰だが人望がない――。パナソニックの新社長に就任する楠見雄規氏の社内評は、必ずしも芳しいものばかりではない。しかし、楠見氏と仕事を共にした社内外の関係者からは、そうした前評判とは乖離した「人物像」についても語られている。楠見氏とは何者なのか。新生パナソニックを率いる経営者の素顔に迫った。
5月19日(水)配信
パナソニック家電部門が「盟友ヤマダ電機」の方針転換を機に反撃へ、包囲網突破の勝算
コロナ禍による巣ごもり需要でパナソニックの白物家電事業は一見好調に見える。しかし、お手頃価格で総合家電化をまい進するアイリスオーヤマと、高価格帯に特化したバルミューダやアイロボットなどの「カテゴリーキラー」に包囲され、業界におけるパナソニックの存在感は低下する一方だ。パナソニックは、ヤマダ電機などの流通改革を突破口にして家電王国の復権を果たそうとしている。
5月20日(木)配信
パナソニックの家電事業は“伏魔殿”、トップが施す「大外科手術」の中身とは
10月に発足する新生パナソニック組織の中で、売上高4兆円弱と最大規模の事業会社となるのが「パナソニック株式会社」。白物家電事業や旧パナソニック電工由来の電材事業を擁する大家電会社である。保守本流で安定収益を稼いできた歴史があるだけに、旧態依然とした組織・制度が根強く残る“伏魔殿”と称される。そこで、家電事業を統括する品田正弘・パナソニック専務執行役員は大外科手術に打って出る。会社の屋台骨を支える家電改革の要諦とは。
5月20日(木)配信
トヨタ社長がパナソニックに激怒した当然の理由、「問題2事業」押し付けの末路
パナソニックとトヨタ自動車が住宅・電池事業で夢見た「将来構想」が画餅になりつつある。とりわけ深刻なのが住宅だ。問題事業を押し付けられた豊田章男・トヨタ社長がパナソニックに激怒しているとされ、両社間の火種になりかねない事態に発展している。住宅事業を巡り繰り広げられる冷戦の実態に迫った。
5月21日(金)配信
パナソニック自動車事業が中核から格下げの衝撃、「テスラ電池」上場計画の信憑性
9年前に成長ドライバーに据えられたパナソニックの自動車事業の迷走が止まらない。10月発足の新組織では、車載機器を担当する事業会社が“格下げ”となったばかりか、モビリティ領域を担当する組織は五つに分散されてしまった。電池主軸に再挑戦するのか、手仕舞いするのか。楠見「新社長」はギリギリの判断を迫られている。
5月21日(金)配信
パナソニック「次の撤退」最右翼はデジカメ!テレビなど問題3事業のたたみ方
パナソニックがテレビ生産を中国TCLに委託する方針を固めた。これで、長年赤字にあえいでいたテレビ事業の構造改革に一区切りがついた格好だ。テレビと並んで問題3事業とされるのが、デジタルカメラとハウジング(トイレやキッチン、建材など)である。パナソニック新体制は、競争優位のない事業に終止符を打つ「撤退の勇気」を持てるだろうか。
5月22日(土)配信
パナソニックvs日立・ソニー・シーメンス…競合6社の「イノベーション格差」は歴然
自動車部品や製造現場の効率化などを成長ドライバーとして掲げたが、結局は家電会社に先祖返りしたかに見えるパナソニック――。その迷走ぶりは、特許の出願件数でもはっきりと表れている。一貫してデジタル化の技術を磨いてきた日立製作所やシーメンスなど競合5社と、パナソニックの研究開発体制を徹底比較し、そのイノベーション格差を明らかにする。
5月22日(土)配信
パナソニックが日立より改革が遅れた「致命的理由」、冨山和彦社外取が激白
パナソニック次期社長として、楠見雄規氏が指名・報酬諮問委員会の審議を経て選出された。次期社長選出の決め手は何だったのか。パナソニックの事業再編改革が日立製作所に大きく後れを取った理由はどこにあるのか。パナソニックで社外取締役を務める冨山和彦・経営共創基盤(IGPI)グループ会長に、パナソニック停滞の病巣について聞いた。
5月23日(日)配信
電機62社「社長の経営力ランキング」で格差浮き彫り、パナソニックの順位は?
パナソニックがレガシー企業の呪縛に囚われている間に、“勝ち組”の競合メーカーは恒常的な構造改革を継続しており、次なる成長事業を育てていた。競合電機メーカー62社の経営者を対象に、収益性や成長力、株価騰落率などのデータから「経営力格差」をあぶり出す。果たして、津賀一宏・パナソニック社長は何位にランクインしたのか。
Key Visual by Noriyo Shinoda